地上の地獄──血まみれの土地に巨大刑務所開設、エルサルバドル
ギャングの麻薬密売と恐喝は、エルサルバドルの日常の一部と化し、毎日10〜20人が殺されていたという。
2020年に政府は「領土管理計画」として知られる治安政策を打ちだし、独房への自然光をすべて遮断すること、家族の訪問を禁止すること、囚人を鎖でつなぐことを含む強硬策に出た。それでもギャングの勢いは止まらなかった。新型コロナウイルスによるパンデミックの間、犯罪はさらに増えた。
2022年3 月に、わずか1日のうちにギャングによる殺人事件が62件発生した後、国会は非常事態を宣言。そして 12 月には、1万人の政府軍が首都のソヤパンゴ地区を包囲。すべての道路が封鎖され、特殊部隊が家々を回りギャングのメンバーを探した。
この「ギャングとの戦い」の最初の1ヶ月で、少なくとも1万7,000人が逮捕され、投獄された。最終的に逮捕者は 6万4,000人になった。エルサルバドルの人口 630 万人のほぼ1%に相当する数だ。
人権団体からの非難も出たが、ブケレ大統領のギャングに対する強硬姿勢は国民からの支持を集め、ある世論調査では90%の支持率が示された。そして、大統領の命令で、CECOTの建設が始まった。「目的は、ギャングを完全に消滅させることだ」と、ルネ・メリノ国防大臣は言った。
とはいえ忘れてはならないのは、残忍な扱いは残忍な人々を生み出す温床になるということ。最終的に、刑期を終えた罪人は解放される。家畜のような扱いを何年も受けた彼らは怒りに燃える可能性がある。エルサルバドルの冷酷な努力は、この血まみれの土地をより危険なものにするだけかもしれない。