「冬将軍はウクライナに味方する」──専門家
Russian Army Faces 3 Unique Challenges Fighting in Freezing Winter: U.K.
本格的な冬がやってくる。写真はロシア侵攻直後の3月、捕まえたロシア戦車とウクライナ兵(ハルキウ) Irina Rybakova/Press service of the Ukrainian Ground Forces/REUTERS
<ロシアはウクライナの人々を極寒地獄に追い込んで抵抗を挫こうとしているが、寒さはロシア兵にも襲いかかる>
ヨーロッパは本格的な冬を迎えつつある。厳寒期のウクライナでは、ロシア、ウクライナ両軍が苦戦を迫られることになる。寒さ以上に凍結が兵士たちを苦しめるだろう。
ロシアは寒さを武器にする戦略をとり、ウクライナ全土で電力インフラを標的にミサイル攻撃を展開している。ロシアの国営テレビに登場する軍事専門家に言わせれば、この作戦は極めて有効だ。極寒の冬に暖房が使えなければ、ウクライナ人は無駄な抵抗を続ける気力をなくすというのだ。
だが、気温低下と日照時間の短縮は、ロシア軍にとっても障害となる。日照時間が短くなると負傷兵を救出できる時間が短くなる、氷点下で兵器の不具合が起きやすくなることなど、厳冬の到来はロシア・ウクライナ両軍を手こずらせるだろう。
英国防省は11月14日朝、ツイッターの公式アカウントに厳寒期に両軍が直面する問題を詳述した情報機関のリポートを掲載した。以下はその要旨。
日照時間の短縮
「冬を迎えることで戦闘の条件は変化する。日照時間、気温、天候の変化で、前線の兵士たちはこの季節特有の困難な状況に直面することになる。ロシア参謀本部は冬の気象状況を考慮に入れてあらゆる決定を下すことになるだろう」と、リポートは述べている。
夏の間は1日15、16時間だった欧州大陸の日照時間は、平均9時間足らずになる。それにより、両軍とも支配地域拡大のための攻撃から、前線を守るための防衛へと、戦略をシフトさせることになると、リポートは指摘している。
だが米シンクタンク・戦略国際問題研究所の上級顧問、マーク・カンチアンは極寒期にも戦闘は続くとみている。