文革で学習能力が欠如する習近平ら「一強」体制が、うかうかできない理由とは?
Finally, Red Guards Over China
10月27日に陝西省の延安革命記念館を訪問した習近平と新指導部の面々 XINHUA/AFLO
<前国家主席・胡錦濤を強制退場させて恥をかかせ、「異分子の一掃」を世界に誇示。しかし、共青団派だけでなく、江沢民派も反撃の機会を虎視眈々と探る、中国の政治勢力図とは?>
中国共産党の全国大会が終わった翌日(10月23日)、第20期中央委員会の第1回全体会議(一中全会)が開かれた。むろん、結果は予想どおり習近平(シー・チンピン)の大勝利。新たに選出された205人の中央委員によって任期5年、3期目の党総書記に推挙され、指導部(党中央)も側近で固めた。
24人の政治局員からは反対派を一掃した。現首相の李克強(リー・コーチアン)を筆頭とする中国共産主義青年団(共青団)の出身者と、そのシンパと目される人物は排除された。
異分子の一掃という意味では、その前日にも象徴的な政治ドラマが演じられた。党大会の閉幕式典の途中で、前国家主席の胡錦濤(フー・チンタオ)が無理やり退場させられた。人民大会堂に集まった2300人超の党員と世界各国の報道陣の眼前で、習は自らの前任者で、共青団派の頭目でもある胡に恥をかかせたのである。
これで終わりではない。習近平はこの先の数カ月で、議会に相当する全国人民代表大会(全人代)の常務委員会も側近で固め、国家主席としても3期目に入り、自分に代わって国政の泥をかぶる首相も指名することになる。
ただし、それでもまだ「習が全権を握った」と言い切るのは時期尚早だ。なぜか。宿敵の共青団派はまだたくさんいて、おとなしく敗北を認めるとは思えないからだ。
共青団は14~28歳の若者を対象とする党内の巨大なエリート養成機関だ。約8000万人が所属しており、ここで優秀な成績を上げれば党員として出世街道を歩める。
その対極には、「太子党」と呼ばれる革命第1世代の党指導者たちの子弟がいる。太子たちは共青団を経由しなくても入党できる。彼らから見ると、共青団の人間は傑出した革命家の血筋を引かない「平民」であり、だからこそ若いうちに徹底的な洗脳教育を受ける必要がある。
結果、太子党と共青団派は互いをさげすむ間柄となった。貴族のような立場の太子党は相手を執事のように扱い、共青団派は太子党を甘やかされた無能なパラサイトと見なす。そんな関係が、派閥間の対立を醸成することになった。