習近平が党大会で語っていた不穏な未来
What Xi Reported
第20回共産党大会の初日に過去5年間の活動報告をする習近平党総書記(10月16日、北京) XINHUA/AFLO
<中国が低成長期に入ったことを認めながらも、深刻な経済問題への対処法は不透明。3期目続投となった習が発表した活動報告を、5つのポイントで読み解く>
5年に1度開かれる中国共産党の党大会。20回目の今回は、習近平(シー・チンピン)総書記(国家首席)が異例の3期目就任を決める場として、大きな注目を集めてきた。
だがまずは、この5年間の実績を党員に説明しなくてはいけない。
だから党大会の初日、習は北京の人民大会堂の大舞台で、活動報告を読み上げた。トップ続投を狙っているだけあって、そこからにじみ出るメッセージは継続性だ。
中国を取り巻く環境は厳しさを増しているが、経済も外交もこれまでどおりのアプローチを粛々と続けるというのだ。
中国だけでなく、世界は「過去100年来経験したことのないほどの大きな変化」を経験していると、習は語った。だが、中国共産党は困難を乗り越えて「歴史的勝利」を収めたという。
2021年の党創立100周年記念式典で強調したように、人民の生活に一定の余裕がある「小康社会」が達成され、極端な貧困は追放されたというのだ。
そして今、党は新たな「中心的任務」に取り掛かるという。「第2の100年目標である、あらゆる面で強力な社会主義現代化国家を建設し、それにより中国の現代化を全面的に推進し、中華民族の偉大なる復興を図る」のだ。
ここでいう100年とは、中華人民共和国の建国から100年間の目標という意味だ。
つまり期限は2049年だが、習はこれを前倒しして、2035年までに「基本的な」目標を達成すると宣言した。
13年後の予測はひとまず置いておくことにして、ここでは習の活動報告から、今後の短期的な方向性を示唆する5つのポイントを紹介しよう。
【1】ゼロコロナ政策は続く
習は自らが進めてきたコロナ対策を自賛した。「コロナ対策と経済・社会の発展の連携で重大な成果がもたらされた」とまで語った。
中国のゼロコロナ政策へのこだわりは、習の人格と密接に結び付いているため、今後も維持されるだろう。
それでも、本当にその適切性に自信があるなら、この政策がもたらしたダメージに触れてもよかったのではないか。公共の利益のために払われた犠牲があった、など遠回しの言い方もできただろう。
だが実際には、経済にとってよかったとだけ言及された。ゼロコロナ政策を変更するべき理由はない、というわけだ。