象のフンが二酸化炭素を減らす──象牙輸出と持続可能な保護活動とは?
THE BREWING BATTLE OVER AFRICA’S IVORY
90年代には地域社会が管轄する野生生物保護区の制度が導入され、狩猟観光、写真撮影付きのサファリ、在来植物の販売などで利益を得られるようになった。野生生物の取引や観光業から利益を上げている先住民コミュニティーもあるが、自然保護の資金の大半は公金だ。
「野生生物の保護政策を導入している国が寄付に依存するなら、持続可能ではない」と、ンギティラは言う。
「国レベルで保護活動を維持し、野生生物の管理に直接携わる地域社会を支援する長期的な仕組みを持つべきだ」。象牙に関する規制は「極めて不公平な」禁止措置だと、ンギティラは指摘する。「象牙がアメリカやヨーロッパ産なら、こうした規制は課されなかっただろう」
象牙の国際取引を再開するためには、合法的な象牙が違法な象牙に汚染されないように守ることも必要になる。しかし、再開を求めてロビー活動を行う国々では、そうした体制が十分に整備されていない。
商業目的の国際取引はワシントン条約で禁止されており、購入側と販売側の双方が制裁を受けるリスクもある。このため、「(取引できる)公開市場はまず見つからないだろう」と、南アの環境会計(企業などの環境保全活動とコストを可能な限り定量的に測定する仕組み)の専門家シャラン・サウンダースは言う。
今後は取引の規制ではなく、動物を生かすことによる生態系への貢献に注目するべきだと、サウンダースは提案する。例えば、ゾウのふんは大気中の二酸化炭素を吸収する熱帯雨林やサバンナの木々の成長を促す。
「炭素隔離に関して、ゾウには潜在的価値がある。(生きている)ゾウ1頭の炭素隔離の効果は175万ドル相当になる。ゾウが生息する国々が生きている個体数で計算した対価を得られるようにして、象牙製品の在庫を焼却処分するように働き掛けることも、効果があるだろう」
象牙の取引だけでなく、こうした自然のカーボン・オフセット(炭素の排出と吸収の相殺)を先進国に販売して自然保護の資金にすることも、議論なしでアフリカゾウの保護に貢献できる方法かもしれない。

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