ミャンマー民主派抵抗政府が武器供与を訴え ASEANへの承認要望も
NUGを支持するデモを行うミャンマー市民。REUTERS
<ウクライナへの欧米の軍事供与を念頭に要望>
ミャンマーのミン・アウン・フライン国軍司令官をトップとする軍事政権に対抗するために組織された民主派の抵抗政府である「国民統一政府(NUG)」は7月28日に国際社会に対して軍装備品や武器弾薬の供与を求めた。
NUGは軍政が逮捕・訴追している民主政府指導者だったアウン・サン・スー・チー氏の側近だった民主派元国会議員と著名な民主活動家など4人の死刑確定囚への7月23日の死刑執行に対抗して、軍政との戦闘を強化するために武器供与は必要だとしている。
NUGのドゥア・ラシ・ラ大統領代行は「ファシスト軍政と戦うために命を犠牲にしているミャンマー人への技術支援、武器弾薬、資金援助を切実に要請する」と国際社会の協力を呼びかけた。
NUGはスー・チー氏の政権を支えた民主派政治家や少数民族代表により組織された抵抗政府。大統領代行はじめ主な閣僚やメンバーはミャンマー国内の少数民族武装組織の支配地域などに潜伏。あるいは国外に脱出して抵抗活動を続けている。
軍政はNUGをテロ組織としてメンバーの摘発に躍起となっているが、NUGはSNSや地下放送などで国内外から軍政批判と情報発信を継続している。
民主派政治犯への死刑執行に対してNUGは「4人の殉教者の犠牲は革命に大きな推進力を与えるだろう」と述べ、NUG傘下の武装市民抵抗組織「国民防衛軍(PDF)」に対し各地で軍との戦闘激化を指示している。
こうした武器供与要求の背景にはロシアが軍事侵攻したウクライナへの米国からの最新鋭の高度な誘導弾や精密砲弾などの武器提供があり、「国家同士の戦争と軍政と民主派組織の内戦という違いはあるが、多くの市民が戦闘や人権侵害で亡くなっている状況は同じ」との認識がNUGの根底にあるとされている。
対ASEANにNUGを認定要求
こうした武器供与の要求を国際社会に求めると同時にNUGはミャンマーも加盟する東南アジア諸国連合(ASEAN)に対してミャンマーを代表する政権としてNUGを認定し、ASEANが主宰する外相、財務相、国防相そして首脳会議にNUGの各閣僚、代表を参加できるように求めている。
8月3日に今年のASEAN議長国であるカンボジアで開催されるASEAN外相会議にもNUGは出席を求めている。同外相会議はミャンマー軍政の代表を招待しておらず、軍政代表欠席で主にミャンマー問題を協議する見通しとなっている。