ここまで来たベトナムのEV、アメリカに進出
Vietnamese Automaker VinFast Plants an Electric Foot in the American Market
自動車業界コンサルティング会社「オート・パシフィック」のアナリスト、ロビー・デグラフは本誌に、「電気自動車の分野では、ますます多くの新規メーカーが米市場に入ってきている。新興企業は多くの場合、資金力がなかったり、組み立て工場や研究開発センターがなかったり、あるいは1つのモデルしか手持ちのカードがなかったりするものだが、ビンファストは違う」と言う。
「アメリカでは知られていなかったかもしれないが、ビンファストは既に母国で大きな影響力を持っている。ベトナムはスクーター人口やバイク人口が多いが、ビンファストは北部に自動車の組み立て工場を建設、大量生産を始めており、同国内で人気の車種のうち3つは、この工場でつくられた自動車だ。ビンファストの親会社であるビングループは豊富な資金を持ち、あらゆる手を尽くして、米市場に進出したい考えだ」
2022年1月にラスベガスで開催されたコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)で、ビンファストはさらに3種類のEV(VF5、VF6とVF7)を発表。年内にはガソリン車の生産を停止し、EV開発に専念するという力の入れようだ。
ブランド認知の向上に励む
ビンファストUSの最高サービス責任者であるクレイグ・ウェストブルックは、本誌に語った。「共通する部品が多いVF8とVF9はもともと、内燃エンジン版と電気自動車版の両方の開発が行われていた。ビンファストが100%電気自動車ブランドになることが決まった時点で、内燃エンジン版の開発は終了した。VF5、VF6とVF7は、最初から完全に電気自動車として開発が行われ、VF6とVF7は同じプラットフォームを共有している」
同社は4月にニューヨークで開催された国際自動車ショーでも、VF8とVF9を展示し、ブランド認知を確立した。この2つのモデルについては、既に予約受付が始まっている。
ビンファストの広報担当者は言う。「現在VF8とVF9の5~7人乗り電動SUVについて、返金保証つきの予約金200ドルで予約を受け付けている。年末までには購入者への引き渡しが行われる予定で、VF6とVF7は来年から購入可能になる」
同社の電気自動車の価格設定(初期費用)は、主な競合よりもやや低めで、搭載バッテリーについては販売ではなく、充電のサブスクリプション方式(定額利用サービス)で提供する。