「力尽きる難民を目の前に後悔」した沿岸警備隊員の挑戦──衛星監視スタートアップが人命と海洋を救う
宇宙開発技術で地上の問題を解決する
こういったデータは、緊急時の対応に役立つだけでなく、災害の結果に対して誰が責任を負うのかという裁判の証拠としても役立つ可能性がある。
そこで期待されるのが最新の小型衛星の活躍だ。小型衛星は従来の衛星よりも高頻度で、地球上の特定の場所の情報を集めることが可能なうえ、航空機による監視より20倍、従来の競合他社より10倍コストを抑えられる。
オービタル社は、合成開口レーダー(SAR)衛星のコンステレーション構築と地球観測画像の提供を手掛けるカペラスペース社(Capella Space)が収集したデータをもとに、動きの早い出来事を追跡。リアルタイムでの監視を可能にすることで、より価値を増している。
スリランカ近海での流出事故は国際的に注目されたものの、他の多くのケースはさほど関心を持たれないのが現状だ。とはいえ、流出した油の量がほんの少しだとしても、環境に深刻なダメージを与える可能性は拭えない。
オービタル社は今後、有害物質の流出を早期に発見して海洋汚染を防ぐこと、そして政府による汚染規制強化の取り組みをサポートしたいと考えている。
現在、資金調達を行って事業をスケールし、送電線の監視など、自社の技術が役立つ新しいサービスの開発に取り組んでいるという。宇宙開発に関する技術が地上の問題解決に使われるようになった一例だろう。
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