森林火災深刻化する米国 消防当局を悩ませる人員不足
「グラスルーツ・ワイルドランド・ファイヤファイターズ」は、連邦消防隊における劣悪な宿舎や施設、人手不足の例をソーシャルメディア上で収集している。
消防隊員らは、ネズミのはびこる居住区域や老朽化した床、配管の問題など、多くの不満を投稿している。中には、低賃金と宿舎不足のためにホームレス状態に陥ったと書いている人もいる。
林野部の報道官は、こうした問題の解決に取り組んでいると述べている。
インフラ投資法による給与改善は有効か
昨年11月にバイデン大統領が署名した1兆ドル規模のインフラ投資法案には、消防隊員の賃上げと、季節契約の消防隊員を通年契約・正規職員に転換していく予算として6億ドルが盛り込まれた。
林野部で見込んでいる1万1300人の消防隊員のうち、約4500人は非正規・季節契約だ。
林野部の報道官は、内務省が5400人の枠を提供することで消防隊員の合計は1万6700人になる見込みだと述べ、林野部として今年初めて、正規職員の採用枠が非正規職員を上回ると予想される、と付け加えた。
またインフラ投資法案のもとで、バイデン政権は「森林火災消防隊員」という職務区分を新設しようという構えだ。
現在、連邦政府職員として森林火災の消火に当たっている職員は、「森林技術者」に分類されている。解釈上、州や自治体に所属する消防隊員に比べ、諸手当の給付を受けることが難しくなる場合がある。
こうした指定を変更することは、「グラスルーツ・ワイルドランド・ファイアファイターズ」などの啓発団体にとって長期的な目標だった。
「法案によって、森林火災対策に取り組むコミュニティーを何よりも悩ませてきた多くの問題が緩和される」と林野部の報道官は述べた。また、同法に基づく連邦消防隊員の賃上げについては年度半ばの実施を目標にしているという。
バイデン政権は、連邦消防隊員の給与を時給15ドル(約1950円)以上+賞与とし、連邦機関の文民職員の最低賃金を時給15ドルとするための措置を進めている。
これとは別に、労働省は今月、連邦消防隊員が傷害給付・疾病給付を申請しやすくするための政策変更を発表した。この動きはすぐさま消防隊員の啓発団体や労組グループから賞賛を浴びた。
だが、多くの消防隊員は、法律上の手直しによる効果については懐疑的だ。
消防隊員の給与・諸手当を改善するための法案は、2021年6月にニューメキシコ州での消火作業中の負傷で死亡した消防隊員ティム・ハートにちなんだ名称を与えられているが、連邦議会での審議は停滞している。
森林火災と戦う女性の消防隊員の1人は、家賃を節約するために、カリフォルニア州内でキャンピングカー暮らしだ。基本給を上げるという案では、経験豊富な消防隊員にとっての魅力的なキャリアパスがないという点をカバーできないだろう、と言う。
匿名を希望しているこの女性隊員は、「火災の中に飛び込んでいく者の賃金を上げるだけでは、人々を集めるには不十分だ」と話している。
だが、昨年カリフォルニア州で8万9000ヘクタール以上を焼失させた「カルドア・ファイア」の消火活動にも参加した消防隊員のネイサン・クルーグマンさんは、気候変動によって森林火災の頻度と深刻さが増す中で、消防隊員の給与改善は不可欠だと語る。
「消防の務めを果たす者がもっと報酬を得るか、それとも誰もこの仕事をやらなくなるか、どちらかだ」
(David Sherfinski記者、Avi Asher -Schapiro記者、翻訳:エァクレーレン)

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