長期ロックダウンに怒る上海市民 検閲回避しSNSに抗議の声あふれる
上海でテクノロジー系の専門職に就くダニエルさんは4月1日、不意打ちを食らった。新型コロナ対策のロックダウンで居住する建物から出られなくなり、わずかな政府の配給と「微信(ウィーチャット)」のグループチャットに生活必需品の確保を頼らざるを得なくなったのだ。写真は上海で、防護服を着る作業員ら。23日撮影(2022年 ロイター/Brenda Goh)
上海でテクノロジー系の専門職に就くダニエルさん(31)は4月1日、不意打ちを食らった。新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)で居住する建物から出られなくなり、わずかな政府の配給と対話アプリ「微信(ウィーチャット)」のグループチャットに生活必需品の確保を頼らざるを得なくなったのだ。
建物に入居する住民約200人が参加するこのグループを利用することで、ダニエルさんは肉や野菜、コメを共同購入できるうえ、上海市の新型コロナ対策に対する不満の高まりを目の当たりにすることができている。異議を唱えるチャットが日を追うごとに増えている。
「住民は怒り、言論の自由を制限する当局に疑問を唱えている。中国でこんなことは初めてだ」とダニエルさんは言う。
「政府や政治指導者、または削除された動画など検閲対象の物事を話題にするときには、ありとあらゆる隠語が使われている」
トムソン・ロイター財団は中国当局にコメントを求めたが、回答を得られなかった。
厳しいロックダウンでウイルスを根絶やしにすることを狙う「ゼロコロナ」政策の下、上海の市民2500万人は所得を失い、家族から引き離され、生活必需品の確保に苦労している。
厳重な検閲を受けるソーシャルメディアのプラットフォーム上にさえ、未曽有の数の苦情があふれかえっている。中国で最も人口が多く最も裕福なこの都市で、住民は婉曲表現を使ったり、上下逆さまにした写真を投稿したりして、検閲をかいくぐっているのだ。
当局に批判的な投稿の多くはすぐに削除されるが、中には生き残っているものもある。その中の1つはクラウドソーシングで作成されたスプレッドシートで、制限措置のせいで持病の治療を受けられずに死亡した人々の記録が記載されている。
このスプレッドシートは中国のソーシャルメディアからは削除されたが、上海に住むリネット・リムさん(31歳)によると、ユーザーのIPアドレスを匿名化してファイアーウォールを回避できる仮想専用通信網(VPN)を通じて今でも見られる。
「ソーシャルメディア上の運動や、検閲に逆らうための協調行動がこのレベルに達するのは前代未聞だ」とリムさん。自身は禁止されているフェイスブックやツイッターにVPN経由でアクセスし、ウィーチャットのメッセージを翻訳したものを頻繁に投稿している。