長期ロックダウンに怒る上海市民 検閲回避しSNSに抗議の声あふれる
「全員がアパートに閉じ込められているので、何が起こっているのかを把握するのは非常に難しい。私はウィーチャットで仲間内の投稿を見て自分の経験を裏付けた上で、起きていることを証言している」とリムさんは語った。
民衆の歌
長年にわたってオンラインの言論と表現が検閲されてきた中国だが、上海の住民は今、映画「レ・ミゼラブル」の「民衆の歌」の動画をアップしている。2019年の香港民主化デモの期間に検閲を受けていた抗議の歌だ。
先週は、上海の住民が隔離環境を批判して助けを求めている音声クリップをまとめた「四月の声」という6分間の動画が拡散され始め、削除された。
しかし、その後もさまざまな形で繰り返し再投稿され、ついにブロックチェーン上のデジタル資産である「非代替性トークン(NFT)」になった。これでもう削除はできない。
不潔な隔離施設の動画や、隔離施設に改造するためにアパートからの立ち退きを言い渡されて抗議する人々の動画もアップされた。
ライデン大学(オランダ)の近代中国研究助教授、ロジエ・クリーマーズ氏によると、これらはすべて削除された。
クリーマーズ氏は「異議を唱える人々はいるが、それがすなわち、その人々が革命論者であることを意味するわけではない。人々は食料を求め、新型コロナ対策にしびれを切らしているのだ。中国共産党の転覆を求めているのではない」と言う。
同氏は 「プラットフォームは以前から厳しく規制されており、コンテンツ規制はさらに厳格化してきている」と付け加えた。
中国当局はこの1年間、巨大インターネット企業への締め付けを強めてきた。
スマホの無い高齢者
リムさんの近所では、共同購入に加われない人々がロックダウンで困難に直面している。
「スマートフォンの無いお年寄りは、家族や近所の人々に助けを求めざるを得ない。近隣委員会の会長が一軒一軒回り、そうした人々の一部に手を貸している」とリムさんは説明した。
1人暮らしのダニエルさんにとって、ロックダウンは精神衛生上厳しいが、近所の人々と近づく機会にもなった。
「上海のような大都市に住んでいると、お隣さんとさえ一度も会わないことがある」が、「このロックダウンで突如として全員が同じウィーチャットのグループに入り、お互いに対話し、良いニュースから悪いニュース、怒りまで、何でも話題を共有するようになった」という。
(Rina Chandran記者)
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