誰もが予想した軍事大国アメリカの「不備」──中国に「船」で苦戦する理由
外国人船員の「反乱」も
米下院軍事委員会・即応力小委員会の委員長で、沿岸警備・海上運輸に関する運輸小委員会のメンバーでもあるジョン・ガラメンディ下院議員(民主党)は、それが戦争にいかに重要な影響を及ぼし得るかをよく知っている。
彼はその理由として、第1次湾岸戦争の例を挙げた。当時アメリカは民間の船舶を雇い、軍事物資を積み込んでイラクに送ることにした。しかしこの船のパキスタン人乗組員たちは、積み荷の中身と目的地を知ると物資の輸送を拒んだという。
「台湾有事の時も補給が難題になる」とガラメンディは本誌に語った。
「太平洋の向こうで戦争が起きた場合、アメリカには戦闘を維持するのに必要なだけの船舶がない。ほかの国々に要請して、船舶を借り受けなければならない」
世界の商船隊の約50%はアジアの企業が所有しており、UNCTADによれば、アメリカの同盟国である日本が全体の11%、韓国が4%を保有している。
それでも両国の海域で戦争が勃発した場合に、アメリカがそれらの船舶を借り受けられるとは限らない。
しかしウィットマン議員は、フィラデルフィアのある造船所に希望を見いだしている。
この造船所は低コストで迅速に船舶を建造する能力があり、1年前に1隻目の建造を開始し、予想を上回るペースで早くも2隻目の建造に着手しているという。
一方、ガラメンディは現在、「国家海上安全保障計画」と称するものを作成中だと語った。ジョーンズ法の要件を満たす船舶を、軍事補助に使えるようにする内容だ。
米運輸省の報告によれば、米船籍の180隻の船舶のうち、157隻は軍事補助に役立てることができると考えられている。そのほかの船舶についても、この機能を持つよう改造することが可能だと彼は言う。