欧州11カ国がメルコスルとのFTA締結に向け協議、米関税で方針転換か

欧州連合(EU)加盟国のうちフランスなど11カ国が3日、南米の関税同盟メルコスル(南部共同市場)とEU加盟国間の自由貿易協定(FTA)の締結に向けて協議に入った。写真は2024年9月、パリで撮影(2025年 ロイター/Gonzalo Fuentes)
[パリ 3日 ロイター] - 欧州連合(EU)加盟国のうちフランスなど11カ国が3日、南米の関税同盟メルコスル(南部共同市場)とEU加盟国間の自由貿易協定(FTA)の締結に向けて協議に入った。11カ国は従来、FTAに反対していたが、トランプ米大統領が2日に発表した相互関税措置の影響を相殺する手法として、一転して締結の検討に乗り出したシグナルとも読み取れる。
フランスのバンジャマン・アダッド欧州担当相が3日、オンライン会議を呼び掛け、10カ国政府高官が参加した。
アダッド氏の事務所の報道担当者はロイターの取材に「参加者全員が貿易パートナーシップの多様化がいかに重要かという点で意見が一致した」と話した。
EU欧州委員会は昨年、ブラジルやアルゼンチンなどが加盟するメルコスルとFTAを締結することで最終合意したと発表していたが、フランスなどが農家保護のため反対していた。オランダやオーストリア、アイルランド、ポーランド、ハンガリーなどはFTAに反対するフランスを支持していた。
だが今回の協議では、フランス主導で計11カ国がFTA賛同に向けて建設的な妥協点を探り始めたとみられる。トランプ氏の関税措置を踏まえた現在の状況下では、EU域内の輸出業者には南米が米国に代わる有望市場となる可能性が出てきた。
フランスなどは従来、ブラジルやアルゼンチンなど環境規制がEUよりも緩い国で生産された牛肉や穀物など農産物が国内に流入するのを警戒。このためFTA交渉は農家保護を巡ってEU内で長く意見対立が起きていた。
3日のオンライン会議でアダッド氏は、輸入量が規定上限を超えた際に自動的に発動するセーフガード(緊急輸入制限)条項をFTAに盛り込む案を支持した。
ただ、ある政府高官はロイターの取材に「協定案には既に一般的なセーフガード条項が含まれているものの、発動条件が厳しすぎるため危機発生時には役に立ちそうにない」と述べた。さらに「農家を保護しない不均衡な協定は受け入れられない」と話した。