習近平、幻の「秋に台湾侵攻」計画...ウクライナ戦争で白紙に(ロシア内部文書)
China Planned Taiwan Invasion in Fall, Alleged Russian Intel Leak Claims
政権の3期目を目指す習近平(写真は2017年) Damir Sagolj-REUTERS
<ロシアの諜報機関「連邦保安局」のアナリストによる内部告発だとされる情報だが、台湾の情報機関の分析とは内容が大幅に異なり真偽は定かではない>
「中国の習近平国家主席がこの秋、台湾を併合する計画を立てていた」とする文書がインターネット上で公開され、注目を集めている。ロシアの諜報機関が書いたものだとされているが、台湾の外交官はこの文書について、本物かどうかは確認できていないと語った。
台湾の呉釗燮(ジョセフ・ウー)外交部長は3月16日に記者団に対して、「中国が台湾を攻撃するのかどうか、いつ攻撃するのかといった情報に関係なく、我々としては常に防衛の備えをしておかなければならない」と語った。
呉外交部長は立法院で開かれた外交・国防委員会での答弁の中で、ロシアの諜報機関である連邦保安局(FSB)のアナリスト(実名は明かさず「変革の風」と名乗っている)が書いたとされる問題の文書について、報道があることは認識していると発言。文書が本物かどうか、個人的に確認することはできなかったが、台湾の諜報機関が詳しく調べているところだと述べた。
問題の文書は、ロシア人の人権派弁護士であるウラジーミル・オセチキンが公開した、複数の文書のうちの1つだ。オセチキンは現在フランスで暮らしており、ロシアの腐敗を告発するサイト「グラグ・ネット」を運営している。2021年には、ロシアの刑務所で起きた虐待行為を撮影したとする1000本以上の動画を、同サイト上で公開した。
オセチキンは、ロシアがウクライナ侵攻を開始してからこれまでに、合わせて7通の文書を入手したとしている。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の計画については、FSBでも事前に知っていた者はごくわずかだったようで、そこにはFSB内部の「恐怖と混乱」が詳細につづられている。
ロシアのウクライナ侵攻で中国が窮地に
調査報道サイト「ベリングキャット」のクリスト・グロゼフ事務局長は3月に入ってから、問題の文書についてFSBの複数の情報源に確認したことを明かしている。それによれば、彼らは文書を書いた内部告発者について、本物のFSB職員だという見方を示したということだ。
内部告発者は、オセチキンに送った3月9日付の4通目の文書の中で、ロシア政府が中国政府を難しい立場に追いやっているとの分析を示した。プーチンのウクライナ侵攻を受けて西側諸国が結束した結果、ロシアが国際社会の「のけ者」になっており、中国がロシアに支援を提供することも難しくなっているためだ。