認知症の世界を「実感」できる本、『認知症世界の歩き方』から見えること
最近だと、自分の思考に影響を与えた本として思い浮かぶのが、『新版 動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか』。分子生物学者の福岡伸一さんが「生命とは何か」という謎に迫った作品です。
僕は前著『持続可能な地域のつくり方』で、SDGs(持続可能な開発目標)の考え方をベースに、地域の生態系をしなやかに再生していくための地方創生の方法を書きました。その際に実感したのが、地域の課題は住民、行政、企業などいろいろな主体が密接に結びついた「生命体」であるという点でした。この本は、生命体を構成する要素同士のバランスがとれていることがソーシャルデザインにおいても重要だと気づかせてくれた最初の一冊です。
こういった本から興味がいろいろな領域に広がっていますが、次に挑戦していきたいテーマは、「気候危機」の領域です。社会課題のなかでもスケールが大きい課題ですし、「こうすればよい」という解が提示されておらず、日本人全体が「自分事」にできていない課題です。この1、2年で探究してきたことをもとに、気候危機のテーマについて多くの方に興味をもってもらえるよう、書籍などのアウトプットを出していきたいですね。
筧裕介(かけい ゆうすけ)
issue+design 代表、慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科特任教授。1975年生まれ。一橋大学社会学部卒業。東京工業大学大学院修了。東京大学大学院工学系研究科修了(工学博士)。2008年ソーシャルデザインプロジェクトissue+design を設立。以降、社会課題解決のためのデザイン領域の研究、実践に取り組む。日本計画行政学会・学会奨励賞、グッドデザイン賞BEST100、竹尾デザイン賞、カンヌライオンズ(仏)、D&AD(英)、他受賞多数。著書に『持続可能な地域のつくり方』『ソーシャルデザイン実践ガイド』『人口減少×デザイン』(単著)、『地域を変えるデザイン』『震災のためにデザインは何が可能か』(共著・監修)など
flier編集部
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