最新記事

分配

カリフォルニア州知事がアメリカ初の皆保険を提案、不法移民にも

Gavin Newsom Proposes Health Coverage for All Illegal Immigrants in California by 2024

2022年1月11日(火)21時05分
ローラ・コーパー

さらに彼は、消防士を支援しヘリコプターやブルドーザーを買い足すために6億4800万ドルを、森林管理に(2021~2022年度予算の15億ドルに加えて)12億ドルを追加することも提案。水資源には2021年度予算で52億ドルを投じており、2022年度にはそれに加えて干ばつ地帯への支援のために7億5000万ドルの予算を投じる考えも表明した。また環境分野では、カリフォルニア州の化石燃料依存を引き続き減らしていくとも宣言した。

厄介なホームレス問題への対処については、メンタルヘルス・サービスや住宅供給、ホームレスのテント村の一掃などに、(2021~2022年度の120億ドルの予算パッケージに追加して)20億ドルを投じることを提案した。これにより、新たに5万5000の住宅や治療設備を用意できる見通しだ。

またインフレで州民の生活費が高騰し続けていることを受けて、プレ幼稚園を無料で利用できる既存の計画を「さらに強化」することを提案。保育施設を増やし、学校の課外活動プログラムを強化する計画も表明した。

パンデミックによって打撃を受けた小規模企業についても、引き続き支援を行うことを表明。各種支払いの免除に加え、助成金の給付や税制上の優遇措置を提供するとした。

州の3大税収が大幅に増加

今回ニューサムが発表した大規模な予算と黒字見通しは、見通しが暗かった2020~2021年度の予算とは対照的だ。2020~2021年度予算でニューサムと州議会議員たちは、パンデミックの影響で540億ドルの財政赤字が出ると予測。その不足分をカバーするために支出を削減し、増税を行い、州の貯蓄口座から資金を引き出した。

だがフタを開けてみると恐れていた財政赤字は発生せず、州の歳入はかつてないほどに増加した。同州の議会分析官事務所によれば、2021年9月には、州の3大税収(個人所得税、小売売上税と法人税)が2020年9月よりも40%、パンデミック前の2019年9月と比べても60%近く多かった。一方では大量の失業者が出て、商業不動産の価値も暴落しているのだが、シリコンバレーの景気が良く、富裕層が保有する株価も高く、エリートたちはリモートで働き続けたので、これら恵まれた層からの税収が増加したのだ。

ニューサムはまた、道路や橋などをはじめとするインフラ建設に投じる予算を大幅に増額すると約束した。この種のプロジェクトは、継続的に必要となる経費がかからないため、前年度予算の黒字分を使うのに適した方法だ。インフラ支出には、州の憲法で定められている支出上限が適用されないため、そのほかの支出を増やしても制限範囲内におさめることができるというメリットもある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 4

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、…

  • 5

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 9

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 10

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 9

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中