おまけ狙いの爆買い男性に106食分を売った中国ケンタッキー、当局から正式に怒られる
中国ケンタッキーでおまけの限定フィギュア目当ての爆買いが発生して問題に TVBS-YouTube
<KFCの販促キャンペーンに乗り、ある消費者は18万円を支出。食品ロスと衝動買いを招いたとして、消費者協会は指導に踏み切った>
中国のとあるケンタッキーフライドチキン(KFC)の店舗において、男性が106食分のセットを購入した。支払った額は1万元(約18万円)を超える。通常は1000円もあれば満腹になることを考えれば、その180倍の金額だ。男性のねらいは食事そのものではなく、おまけのフィギュアだった。
中国KFCは同国進出35周年を記念したプロモーションとして、限定フィギュアをおまけで提供している。指定の食事セットを購入すると、6種類のうち1体のフィギュアがついてくる。どのフィギュアが手に入るかは完全にランダムとなっており、これが問題の男性のような熱心なリピーターを多く生むきっかけとなった。
出現率には偏りがあり、最もレアなデザインのものは72体に1体しか封入されていない。6種類すべてをコンプリートするには、相当の回数の食事を覚悟しなければならないしくみだ。セットの価格自体もファストフードとしては高額で、1食あたり99元(約1800円)に設定されている。
人気フィギュアが招いた争奪戦
単なる安価な独自商品であれば、ここまでの人気にはならなかったかもしれない。しかし、今回KFCが用意したのは、中国POP MART(ポップマート)社が販売する人気フィギュア「DIMOO(ディムー)」の限定版だった。
DIMOOは高クオリティのフィギュア・シリーズで、夢の世界に迷い込んだ男の子をテーマに、髪型や服装などが異なるバリエーションを展開している。大人でも楽しめるフィギュアを標榜しており、あどけない表情と精巧なつくりが売りだ。中国国内だけでなく、海外でも若者を中心にヒットしている。
今回おまけとして用意された特別版は、男の子が創業者のカーネル・サンダースに扮したバージョンや、フライドポテトの箱に入って眠るポーズをしたものなど、いずれもKFCならではの限定デザインだ。
かわいらしさと入手の難しさがコレクター心理を刺激し、各地で買い占め騒動にまで発展するほどにキャンペーンは盛り上がった。106食を購入した男性も、限定フィギュア欲しさに大量入手を図った模様だ。想定を上回る需要によって用意したフィギュアが完売したことから、KFCは予定を繰り上げる形ですでに提供を終了している。
当局はフードロスを問題視
一見大成功に見えるこのキャンペーンだが、中国公営の消費者協会はおかんむりだ。食べ物の過剰購入を促しているとして、長文の文書でKFCに対し是正を促した。文書は106食を購入した冒頭の男性を例示し、顧客に衝動的な支出を促したとも指摘している。
サウスチャイナ・モーニングポスト紙によると協会は、「単にランダム封入のおもちゃの限定版を引き当てるだけの目的で消費者を容易に衝動買いへと誘導するものであり、結果として度を超えた食品の購入と食品廃棄を招くものである」と強く非難している。