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韓国の初の独自開発ロケット「ヌリ」打ち上げ成功、ダミー衛星の軌道投入は失敗

2021年10月25日(月)17時55分
佐々木和義

宇宙ロケットと大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射技術は同一で、衛星を積むと宇宙ロケット、弾頭を搭載するとICBMと呼ばれている。北朝鮮は2009年2月4日、宇宙ロケット「銀河2号」の打ち上げに成功したと発表したが、実際はICBMの発射実験だったと見られている。

北アメリカ航空宇宙防衛司令部(NORAD) とロシア軍が、北朝鮮が発表した軌道に該当する衛星がないことを確認し、日本政府は「銀河2号」の打ち上げを「飛翔体発射」から「ミサイル発射」に変更した。

ICBMは発射技術に加えて、大気圏再突入の技術が必要で、また、専門家は「ヌリ号の酸化剤と液体酸素は、保管条件が難しいため軍事用には適していない」と指摘するが、韓国はロシアから技術導入したと見られるSLBMの発射実験に成功している。

来年5月に2号機、12月に3号機を予定

現在、ロケットの打ち上げ技術を有する国のうち、米国とロシア、中国、インド、イスラエルはICBMを保有しており、フランスと日本はICBMを保有していないが技術はあり、フランスは潜水艦から発射する弾道ミサイルSLBMを保有している。

元韓国政府当局者はヌリ号打ち上げに触発された北朝鮮が人工衛星を打ち上げる名分で、長距離ロケットを発射する可能性を指摘しており、米軍も22日午前、偵察機で北朝鮮の動向を監視した。

韓国は今回、ヌリ1号機にダミーの衛星を搭載した。来年5月の打ち上げを予定している2号機も200キロの小型衛星と1.3トンのダミー衛星を搭載する予定で、来年12月に予定されている3回目の打ち上げから実際に運用する小型衛星を搭載する計画だ。今回と次回は、本格的な宇宙開発を進める前のリハーサルと位置付けられている。

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