「涙が溢れそうに」 ロックダウンで叔母の葬儀逃した羊飼い、羊で追悼メッセージ 豪
続いて控えめなジャクソン氏は、叔母が空から見たかもしれないので「まあ良しといえるかもしれないですね」と自己評価すると、司会者は「まずまずなんてものじゃないですよ、本当に素晴らしいことですよ」と応じた。司会が「(牧羊)犬は手伝ってくれました?」と水を向けると、実はドローンが上空で待機できるまで羊が餌に飛びつかないよう、犬たちが見張っていたのだとジャクソン氏は明かし、「犬たちをクレジットに載せてもいいかもしれませんね」と笑った。
失敗にめげず試行錯誤
羊たちは驚くほどきれいなラインを描いているが、実はスマートに展開する動画の背後には、多くの試行錯誤があったようだ。豪ニュースサイトの『news.com.au』によると、ハート型を描くはずの線が最初の撮影ではあちこち歪み、残念なことに絵文字の「うんち」のような形に仕上がってしまったという。飼料をハート形に地面に敷くことで羊たちを誘導し、3〜4回の試行の末にやっときれいなラインを出せるようになった。
青年は叔母の葬儀以前から、たびたび牧場でのアートを試みている。過去の干ばつや最近のロックダウンなど困難な状況が起きるたび、少しでも明るい気分を保とうと、羊の助けを借りたチャレンジに勤しんできた。これまでにも豪公共放送局のABCやラグビーチームなどのロゴを牧場に描いており、叔母も生前は彼のアートの大ファンだったという。
新しいことが大好きなジャクソン青年は、5代続く農場で働くと同時に、音楽シーンでも活躍している。2017年には豪ABCのラジオ部門であるトリプルJが主催したエアDJ大会において、全国チャンピオンの座を勝ち取った。既存の枠にとらわれない発想を持つ彼だからこそ、困難な状況を逆手に取った動画で人々の心を動かすことができたのかもしれない。