アフガン撤退、バイデンの「テロ対処能力ある」に批判が続出する理由
ISLAMIC TERRORISM AGAIN?
アフガニスタン上空へのアクセスの欠如は、テロリストに先制攻撃をかける上で致命的な制約になり得ると言うのは、CIAの元テロ作戦担当者フィリップ・ジラルディだ。
「当分の間、タリバンが(テロ活動の容認といった)挑発的行動に出る可能性は低いとみているが」と彼は語る。「それで安心していいとは思わない。アフガニスタンは海に面していない。だから、あそこのテロリストを排除するにはパキスタンを含む周辺諸国の協力が不可欠だ」
CIAがタリバンとの関係構築を模索するのはいいが、問題はタリバン側が、新政府樹立の協議にシラジュディン・ハッカニのような人物(アルカイダとつながりのあるハッカニ・ネットワークの指導者で有名なテロリスト)を加えている点だとクリシュナムルティも指摘する。
「長年テロリストの最重要指名手配リストに載ってきたハッカニが、わが国の信頼できるパートナーになり得るとは、少なくとも私には考えにくい」と彼は言う。
バイデン大統領の見通しは甘過ぎる、と言うのは元CIA職員で中東情勢に詳しいルエル・マルク・ゲレヒト。
軍用ドローンによる攻撃能力がどんなに上がっても、近くに基地がなく現地にスパイがいなければ、テロリスト相手に戦う能力は確実に落ちるからだ。
「アフガニスタン領内に潜むイスラム武装勢力をたたき、殺傷する」という目標に関する限り、米情報機関の能力は「小学生並み」にまで落ちるだろうとゲレヒトは言う。
「(四半世紀前の)クリントン政権時代に逆戻りだ。こちらがミサイルを撃ち込んでも標的はとっくに逃げている、そんな時代だ。いや応なく、わが国もヨーロッパ流のテロ対策に転じざるを得ない。つまり、攻めから守りへの転換だ」
▼本誌9月7日号「テロリスクは高まるか」特集では、米軍撤退目前に起きた空港テロが意味するもの、アメリカの対テロ戦争は20年前の振り出しに戻ったのか?を様々な角度からリポートする。
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