最新記事

アフガニスタン

<動画>これでもタリバンを信じられるか

Video of Afghan TV Host Reassuring Viewers While Flanked by Armed Taliban Viewed 1.2M Times

2021年8月31日(火)19時18分
トーマス・キカ
タリバンのムジャヒド報道官

西側協力者の命や女性の権利も「守られる」、と言うタリバンのムジャヒド報道官 REUTERS

アフガニスタンのTV番組司会者がカメラに向かって話をしている動画が、インターネットで拡散している。司会者を囲んで恐ろしい背景が映っていたからだ。

動画のなかで司会者は、国民は新政権を恐れる必要はないとタリバンの声明を読み上げる。その間中、武装したタリバン戦闘員が周りを取り囲んでいる。映像では少なくとも8人が確認できる。

この動画を最初にSNSでシェアしたのは、BBCの記者キアン・シャリフィをはじめとするジャーナリストや活動家たちだった。

シャリフィは、最初のツイートでこう述べた。「武装したタリバン戦闘員たちに囲まれて、アフガニスタンのTVネットワーク『ピース・スタジオ』の司会者がこう言った。アフガニスタン・イスラム首長国(タリバンが自称する国名)は、人々が『タリバンに協力し、怖がらない』ことを望む」

「とても現実とは思えない」。イラン出身のジャーナリストで活動家のマソウメ・アリ・ネジャドはそうツイートした。「銃を手にしたタリバン戦闘員たちが、恐怖にすくんだ番組司会者に対して、イスラム首長国は怖くないと無理やり言わせている。多くの人にとって、タリバンは恐怖の代名詞だが、これがその証拠だ」


実際に殺されている

ドイツ国際公共放送ドイチェ・ヴェレは8月19日、同局所属ジャーナリストの親族1名がタリバンに殺害されたと発表した。インドの英字紙ヒンドゥスタン・タイムズによれば、タリバン戦闘員たちは一軒一軒家を訪ね歩いてそのジャーナリストを探していたという。これは、アフガニスタンにおけるジャーナリストたちが、敵視され危険な状況に置かれていることを示唆している。

ドイチェ・ヴェレのペーター・リンブルク会長は声明で、「当局所属ジャーナリストの1人が昨日、近親者をタリバンに殺害されたことは、想像を絶する悲劇であり、アフガニスタンで働く当局従業員とその家族すべてが深刻な危機的状況に置かれている証拠だ」と述べた。

「タリバンがすでに、カブールとその他の州でジャーナリストを組織的に捜索していることは明らかだ。私たちにはもう時間がない」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

テスラの「ギガキャスト」計画後退、事業環境の逆風反

ワールド

ロシア、ウクライナで化学兵器使用 禁止条約に違反=

ビジネス

ドル一時153円まで4円超下落、再び介入観測 日本

ワールド

米、新たな対ロシア制裁発表 中国企業を狙い撃ち
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 6

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 7

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 8

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 9

    パレスチナ支持の学生運動を激化させた2つの要因

  • 10

    大卒でない人にはチャンスも与えられない...そんなア…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 9

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中