アフガニスタン政府軍はなぜあんなに弱かったのか、米政府はこの浪費を説明せよ
Taliban Didn't Win in Afghanistan, the Defense Contractors Did
その軍が崩壊したのは不幸中の幸いだったかもしれない。メンテナンスがよければ、タリバンの手に渡る武器や備品はもっと増えていたかもしれない。一部のアフガニスタン人パイロットは軍用機で国外に逃亡したが、アメリカは彼らに感謝すべきだろう。アメリカ製の最先端の軍用機が、タリバンの手に落ちずいすんだのだから。
もちろん、タリバンの手に渡った武器も多く、そうした武器の一部は、援助や投資と引き換えにアメリカのライバルの手に渡るだろう。前例もある。米軍がパキスタン北部のアボタバードでウサマ・ビンラディンを殺害した際、作戦に参加して墜落した米軍機は中国の手に渡ったのだ。
こうした数字を全て合わせると、アフガニスタン政府軍の増強にアメリカが拠出した額は約830億ドルに達する。20年に及んだアフガニスタン戦争全体に費やした額は2兆ドル近い。数多くのアメリカ人がこの戦争で命を落とし、さらに多数が重傷を負い、心的外傷を負った。
「いいカモ」だった政府軍
もしかすると責任の一端は民間軍事会社への委託のあり方や、請負う側の姿勢にあるのかも知れない。
この春の時点で、アフガニスタンには約7000人の請負業者がいて、アフガニスタン陸軍の運営を支えるとともに空軍を機能させてきた。最終的にアフガニスタンが自力で軍を維持できるわけがないのを分かっていて、なぜアメリカは軍備を増強しようとしたのだろう。戦争で大もうけする請負業者やその仲間たちが、米軍が撤退した後もアフガニスタン政府軍との関係を維持することで多額の利益を得ようとしていたためではないだろうか。
タリバンからの大きな脅威にさらされている限り、武器と専門知識に対する政府軍のニーズは常に高く、それは非常にカネになるビジネスになるはずだった。
もちろんこれは推論に過ぎず、調べてみなければ実際のところは分からない。アフガニスタン政府軍は姿が消してしまっても、われわれはその理由を問うべきだ。