G7「対中包囲網」で賛否両論、一時ネットを遮断
また6月13日付のワシントン・ポストは"Biden asks G-7 to take a tougher line on China, but not all allies are enthusiastic"(バイデンはG7に中国への厳しい対応を要請するも、すべての参加国が乗り気なわけではない)という見出しで同様の報道をしているが、特に日本に関しては「中国は隣国であり、最大の貿易相手国でもあるので、中国と仲たがいすることを警戒している」としている。
今国会で成立しなかった「日本版マグニツキー法」
4月11日付けのコラム<ウイグル人権問題、中国に牛耳られる国連>で述べたように、自民党の中谷元・元防衛相を中心として今年4月6日、「人権侵害に関与した外国の当局者へ制裁を科す議員立法制定を検討する超党派の議員連盟」が、国会内で設立総会を開いた。人権侵害に関与した人物や団体に対する制裁を可能とする「人権侵害制裁法」(日本版マグニツキー法)の今国会での制定を目指していた。しかし本日(6月16日)会期末を迎えた国会では、本法案は取り上げられることなく流れてしまった。
関係者から聞いたところによれば、本法案制定を邪魔したのは親中に徹している公明党であり、自民党内部の一部の極端な親中派であるとのことだ。
アメリカの主流メディアであるCNNやVOAあるいはワシントン・ポストなどが指摘した「日本政府の曖昧な対中姿勢」が、ここに来て鮮明に浮かび上がってきたということができよう。
菅総理は、「日本が一貫して強い姿勢を見せたために各国の大きな支持を得た」と宣伝しているが、果たしてそうだろうか?
まるで「まやかし」とでも言いたいほどの偽装工作は、いずれは歴史の審判を受けることになるだろう。
これではまるで、天安門事件後の対中経済封鎖をいち早く破って中国に経済繁栄をもたらした日本と同じではないか。さらなる罪を重ねないために、日本人は真実を見抜く目を持ち、見たくない現実を直視しなければならないのではないかと思う。
なお、G7による「一帯一路」対抗策に関しては別途考察を試みることとする。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
[執筆者]遠藤 誉
中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『裏切りと陰謀の中国共産党建党100年秘史 習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』(ビジネス社、3月22日出版)、『ポストコロナの米中覇権とデジタル人民元』、『激突!遠藤vs田原 日中と習近平国賓』、『米中貿易戦争の裏側 東アジアの地殻変動を読み解く』,『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。
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