G7「対中包囲網」で賛否両論、一時ネットを遮断
イギリスのコーンウォールで開催されたG7首脳会談に出席するため初外遊したバイデン大統領 Toby Melville-REUTERS
G7首脳会談では対中包囲網で意見が一致したと報道されているが、実は内部で賛否両論があり、会議室のネットを一時遮断するほどだったとCNNが暴き、中国はここぞとばかりにG7の矛盾を突いている。
中国はこれをアメリカが覇権にしがみつく「あがき」であり、一国では中国に対抗できないために他国に無理強いをしているとみなしている。
対中強硬論で意見が一致せず、会議室のネットを遮断
6月11日から13日までイギリスのコーンウォールで開催されたG7首脳会談は13日に閉幕し、「G7カービスベイ首脳コミュニケ」として共同声明を発表した。日本では「民主と自由と人権の勝利」であり、ついに「西側諸国が団結」して「対中包囲網を形成した」と勇ましく報じているが、実態はかなり違うようだ。
アメリカ時間6月12日のアメリカのメディアCNNは、「あまりの混乱と意見の不一致で一時会議室へのネットをすべて遮断する事態になった」と報じている。特に新疆ウイグル自治区西部での強制労働などの権威主義的な行為を行っている中国に対して、より強い行動をとるよう求めた米国、英国、カナダとヨーロッパ諸国の間で意見が対立したという。
EUを離脱したイギリスは、しばらくの間「中国に付くか、アメリカに付くか」で迷い漂流していたが、最近ではアメリカに近づくことにしたらしく、G7が始まる前に米英間の「新大西洋憲章」を結ぶなど、米英関係強化を鮮明にした。
中国の「環球時報」が飛びついた
中国はアメリカの大手メディアの情報をあまり直接転載はしたがらないが、CNNの情報をアメリカのリベラル系ニュースサイト「デイリー・ビースト」(The Daily Beast)が転載したので、中国共産党系の「環球時報」は「デイリー・ビースト」の報道を引用して、6月13日08:48に「米メディア:G7が中国に関して密談している時に会議室のネットが遮断された」という見出しで速報している。以下、その速報の概略を書く。
●バイデンは盛んに「アメリカは(国際社会に)戻ってきた」と叫んでいるが、G7のその他の国は対中問題に関してワシントンに「誘拐(連行)」されるつもりはない。
●そのため議論が紛糾し、外部に知られるとまずい状態にまでなったので、会議室に接続されている全てのインターネットを一時的に遮断した。
●特に新疆(ウイグル自治区)に関して強制労働が行われていることを、共同声明に書き込もうというバイデンの試みは強烈な反対に遭って達成できなかった。「デイリー・ビースト」はsquabble(言い争い)という単語を用いてこの状況を表現している。