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ミャンマー

【手記】ミャンマーで拘束されたジャーナリストが見た、監獄の過酷な現実

My Days in Prison

2021年6月16日(水)18時08分
北角裕樹(ジャーナリスト)

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抵抗の印として3本指を掲げて軍事政権へ抗議する若者たち(6月3日、ヤンゴン) REUTERS

筆者が収容されたのは、長さ4メートル、幅2.5メートルほどの独房だ。イギリス植民地時代に建てられたレンガ造りで、壁にはアリの大群が巣くっていた。部屋には穴が開いただけのトイレと、すのこのような木製のベッドがあるだけ。飲み水として蒸留水のタンク、トイレの後の処理用としてたらいが用意されていた。

食事は1日3回。白飯を皿によそい、その上からカレーやおかずをかける。ナスやカボチャのカレー、冬瓜や豆のスープ、空心菜の炒め物などが定番メニューだった。刑務所暮らしでは食事が数少ない楽しみなので、口に入るものは何でもおいしく感じた。

苦しんだのは、独房の中での精神状態だ。収監後しばらくは屋外に出られる機会が少なかった。ネガティブな考えが浮かんでも、気分を転換できない。仲間は捕まっていないだろうか、押収物に大事なビデオは入っているか、など不安がよぎって止まらなかった。筋トレなど運動をして前向きな気持ちを保とうとした。

灼熱のミャンマーの暑さも厳しかった。収監されていた時期はミャンマーでも最も暑い季節に当たり、最高気温が40度を超えることも少なくない。レンガが日中の太陽光を浴びて熱くなり、夜でも蒸し暑さが続いた。暑さに参った筆者は、日に4回も5回も水浴びをしていた。

VIP扱いの政治犯たち

収容された独房のある建物にはVIP扱いの政治犯が収容されており、筆者のほか多い時で10人がいた。国民民主連盟(NLD)政権時代の閣僚、著名民主活動家、人気俳優、大物ジャーナリストらだ。

政治犯は、互いに助け合いながら監獄の日々を過ごしていた。拘束されてすぐ、ほかの政治犯から、せっけんやインスタントコーヒーや菓子などが届いた。独房の外に出られる自由時間に直接手渡すこともあれば、看守ら独房の間を行き来できる人に託して届けられることもある。

筆者はTシャツとジーンズだけで連行されたので、ほかに服がなかった。それを知った政治犯の1人は、Tシャツを届けてくれた。筆者も、友人や大使館から差し入れが届くようになってからは彼らの思いに報いようと、レトルトカレーなどを熱湯で温め、ほかの政治犯に配っていた。

政治犯たちは常に国の将来のことを考えていた。裁判で弁護士と会う機会などを利用して、外部のニュースを聞いては、それを政治犯仲間でシェアして、現在の情勢はどうなっているのか、どうしたらクーデターを終わらせることができるのかを議論していた。

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