【手記】ミャンマーで拘束されたジャーナリストが見た、監獄の過酷な現実
My Days in Prison
筆者の刑務所生活は、突如終わりを告げた。5月13日、刑務所の幹部から「君は明日、日本に帰ることになった。10分で荷物をまとめるように」と告げられた。理由の説明はなく、あれよあれよという間に刑務所を出て留置所に一泊。翌日空港で日本大使館の職員に筆者の身柄は引き渡された。
約1カ月の収監を経て釈放されてみると、日本から見るミャンマーの情勢は様変わりしていた。日本では「街は表面的に平穏を取り戻した」などと報道されているが、ヤンゴンの友人からはこの1カ月の間に国境地帯で少数民族武装勢力から軍事訓練を受け、来るべき内戦の日に備えているという連絡を受けた。
筆者は、自分に続いてほかの政治犯が釈放されることを望んでいたが、実際にはそうなっていない。6月11日の市民団体の報告では、クーデター後に逮捕された4800人以上の政治犯がいまだに収監され、国軍の鎮圧などによる死者も860人に上っている。市民の抵抗はやまないだろう。
多くの市民も収監中の政治犯もクーデターを認める気はなく、今後も抵抗を続ける覚悟だ。一方で国軍側も妥協する様子は見られない。その結果が、さらなる流血につながらないように祈りたい。
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