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バッハとテドロスは習近平と同じ船に:漕ぎ手は「玉砕」日本

2021年5月28日(金)16時35分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

だからテドロスを使ってWHOを動かし、テドロスとともにバッハを誘い込んでIOCを動かしている。

くり返しになるが、5月26日のコラム<バッハ会長らの日本侮辱発言の裏に習近平との緊密さ>に書いたように、東京五輪が中止されれば、それはコロナのせいなので、「コロナの責任論」が世界中で再燃するだろう。となれば、習近平が必死で避けている「ウイグルの人権問題」にも焦点が当たる。

だから習近平はバッハに「五輪を政治化してはならない」と言わせており、ウイグル問題をスルーすることに今のところ成功している。本来なら「政治化させないためにも人権には焦点を当てなければならない」のに、本末転倒だ。

だから東京五輪は、習近平・テドロス・バッハが乗った船「習近平号」が何としても断行しようと必死なのである。

「習近平号」の漕ぎ手は「コロナ惨敗国」日本:ツケを払うのは日本国民

そのような外圧を喜んで受けて立ち、「習近平号」の漕ぎ手を自ら名乗って懸命に漕いでいるのが日本政府だ。

そのツケを払わせられるのは日本国民で、国民は命を捧げ経済破綻を強いられる。

日本はコロナ対策で惨敗した国だ。

ワクチン接種に関しても世界一の後進国であると言っても過言ではない。

さまざまなデータが出ているので、ここで指摘するまでもないことだが、最も見やすいデータにNHKの表示がある

ここまで立ち遅れている国が、世界から10万人も集めて東京五輪を開催しようというのだから正気の沙汰ではない。

7月末に高齢者向けのワクチン接種が終わったとしても、若者たちはどうするのか?

子供たちもどうするのか?

7月に東京五輪を断行してしまえば、日本政府のこれまでの国民の命を軽視する姿勢から推測すれば、ワクチン接種のスピードは減速する可能性さえある。

復興五輪などと銘打ってスタートしたはずの東京五輪だが、あの原発事故から日本は何を学んだのか?

「予想できない危機」を回避するのが「リスク管理」ではないのか?

復興どころの騒ぎではなく、日本は今、第二次世界大戦の「玉砕精神」に基づいて「習近平号」を疾風の如く走らせるために、罪もない日本国民の命を犠牲にして盲進しているのである。

東京五輪を断行した時に強いられる契約「開催都市計画」

東京が2020大会の開催都市に決定した際に、東京都、JOC(公益財団法人日本オリンピック委員会、IOCの3者で締結した「開催都市計画」なる契約がある。そのリンク先にある「開催都市契約(日本語訳)(899 KB)」というPDFをクリックすると、そこに詳細な契約内容が書いてある。

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