最新記事

中国

バッハとテドロスは習近平と同じ船に:漕ぎ手は「玉砕」日本

2021年5月28日(金)16時35分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)
2020年東京五輪のロゴ

2021年に延期された東京五輪 Issei Kato-REUTERS

IOCとWHOは建党百周年記念を輝かせたい習近平国家主席と利害を共にし、彼らが乗る船「習近平号」をコロナ失敗国・ワクチン後進国である日本が玉砕覚悟で漕いでいる。命と税金を奪われるのは日本国民だ。

習近平にとって御しやすいWHOテドロス事務局長とIOCバッハ会長

バッハ会長やコーツ副会長を中心とするIOC(国際オリンピック委員会)が、いかに緊密に結託しているかに関しては一昨日(5月26日)のコラム<バッハ会長らの日本侮辱発言の裏に習近平との緊密さ>に書いた。

これに加わるのがWHO(世界保健機構)のテドロス事務局長だ。

テドロスがどれだけ習近平と「つるんで」いるかに関してはこれまで何度も書いてきたが、まだご覧になっておられない方は2020年1月31日のコラム<習近平とWHO事務局長の「仲」が人類に危機をもたらす>など、その周辺コラムをご覧いただきたい。

しかしそのテドロスもコロナの世界的蔓延が日々爆発的に拡大している状況を受けて、東京オリンピック・パラリンピック(東京五輪と略称)の延期を勧告せざるを得ないところに追い込まれ、安倍元首相からの申し出もあり、2020年3月24日にはバッハも渋々「1年程度の延期」に同意した。

2020年5月16日にはIOCとWHOが覚書を交わし、IOCはWHOの助言に従って行動することとなった。

こうなったら東京五輪に対するIOCの方針は習近平の意向一つで左右されることになるのは目に見えていた。

今年の中国共産党建党100周年記念を何としても輝かせたい習近平

今年7月1日は中共共産党建党100周年記念だ。そうでなくとも輝かせたいだろうが、拙著『裏切りと陰謀の中国共産党100年秘史  習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』に書いたように、習近平にとっては、中国の如何なる他の指導者よりも「建党100周年」に対するこだわりは強いはずだ。それは権勢欲とか名誉欲とか、そういった一般の指導者が持つ野心以外に「親の仇を討ってやる!」という1962年以来蓄積してきた強烈な復讐心が心の底に内在しているからだ。

だから、ちょっとやそっとのことではへこたれない。

何を言われようとも、7月1日を輝かしく迎えて、来年の北京冬季五輪へとつなげていこうとしている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

MSCI新興国指数でインド株ウエートが最高更新、資

ビジネス

海外勢の米国債保有、3月は過去最高更新 日本の保有

ビジネス

TikTok米事業買収を検討、ドジャース元オーナー

ワールド

ガザ休戦交渉、イスラエルの条件修正が暗礁原因=ハマ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史も「韻」を踏む

  • 3

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 4

    マーク・ザッカーバーグ氏インタビュー「なぜAIを無…

  • 5

    それでもインドは中国に勝てない...国内企業の投資意…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    羽田空港衝突事故で「日航の奇跡」を可能にした、奇…

  • 9

    総額100万円ほどの負担増...国民年金の納付「5年延長…

  • 10

    奇跡の成長に取り残された、韓国「貧困高齢者」の苦悩

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 7

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中