最新記事

中国

バッハとテドロスは習近平と同じ船に:漕ぎ手は「玉砕」日本

2021年5月28日(金)16時35分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

その24頁にある「24.」の「a)保健サービ」に概ね以下のようなことが書いてある。

――開催都市(など)は、IOCから受けたすべての指示に従い、(中略)本大会のために開催国に滞在中に発生したあらゆる症状について、IOCが指定する一部のカテゴリーの資格認定を受けた人々(選手、チーム役員、チームスタッフ・・・・・・・が含まれるが、これらに限定されない)に対し、無料で提供するものとする。(引用ここまで)

この無料提供というのは、日本側がお金を出すということだから、結局は日本国民の税金から捻出することになる。

私たち日本国民は、このコロナ禍の中で「命の選択」をされて入院も出来ず自宅療養で死んでいき、ワクチンの接種も受けられないまま、全世界から10万人ほどの関係スタッフを受け入れ、しかも爆発的なコロナ感染が待っているかもしれない中で、東京五輪開催を強要されているのである。

復興五輪は「予期できない津波による原発事故が招いた災害からの復興」を謳いながら、コロナという、予期できないウイルス災禍の中で、やはり「予期できないリスク」を回避せずに断行しようとする玉砕行動に向けて、いま日本は突き進もうとしているのだ。

虚構の「勝利」を国民に信じさせて、竹やりで原子爆弾に立ち向かった愚かな日本。

その愚かさだけでなく、原発事故もリスク回避できず、さらにコロナ爆発と日本国民の命と財産を捧げて「習近平号」を守り抜こうとしている愚かさに、日本国民全体が気づかなければならないのではないだろうか。

得をするのは習近平。

儲かるのはIOC。

多大なる犠牲に苦しむのは日本国民なのである。

天安門事件以降の日本の中国支援が、今日の中国の繁栄をもたらしたことは、もう何度も書いてきた。拙著『裏切りと陰謀の中国共産党100年秘史』の冒頭と最終章をご覧いただければ、スタートから今日まで、中国共産党の繁栄を支え続けてきたのは日本であることが明確になる。

日本国民には、その自覚を持ってほしいと切望する。


※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

この筆者の記事一覧はこちら

51-Acj5FPaL.jpg[執筆者]遠藤 誉
中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『裏切りと陰謀の中国共産党建党100年秘史  習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』(ビジネス社、3月22日出版)、『ポストコロナの米中覇権とデジタル人民元』、『激突!遠藤vs田原 日中と習近平国賓』、『米中貿易戦争の裏側 東アジアの地殻変動を読み解く』,『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。

20250121issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年1月21日号(1月15日発売)は「トランプ新政権ガイド」特集。1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響を読む


※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 3
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 6
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 7
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 8
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 9
    注目を集めた「ロサンゼルス山火事」映像...空に広が…
  • 10
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中