自分の家に押し入った泥棒と親友になった女性 「人は変われる」
We Made Friends With Our Robber
筆者(右)や娘のアンマリーはニール(手前)と個人的な絆を結ぶように COURTESY OF WEST MIDLANDS POLICE
<更生プログラムを通じて出会った窃盗犯のニール。「再チャレンジ」の大切さをこの友情に学んだ>
2019年3月、夫のテリーと親族を訪問した後、イングランド中部バーミンガム近郊にある自宅に戻ってきたときのことだ。普段は階段の上に置いてある袋が床に落ちているのに気付いた。なぜだろうと、夫に聞いたことを今でも覚えている。
テリーは私を見つめて言った。「泥棒に入られたんだ」
まさかと思ったが、居間のコーヒーテーブルの引き出しは空っぽで、孫のXboxや現金500ポンドが消えていた。寝室のベッドには引き出しの中身がぶちまけられていた。
すぐに警察に電話し、鑑識係員がやって来た。あちこちに指紋が残っていて、プロの仕業でないのは明らかだった。約1週間後、犯人は捕まった。
犯人が起訴された後、地区を管轄するウェストミッドランズ警察のジョン・ヘインズ巡査から「犯罪のない地域社会のための抑止プログラム(C3)」の説明を受けた。
私たちの間に友情が育った
C3は同警察が実施する更生プログラムだ。非暴力的な窃盗常習犯が特定の条件に同意すれば、プログラム期間中は懲役刑の執行が延期される。プログラム参加者は4カ月間、電子タグを装着し、特定の目標を達成しなければならない。事件関係者全員が集まる修復的司法会議への出席や職業訓練・労働、依存症回復支援、薬物検査などだ。
プログラムには被害者側の同意が必要だ。私は、犯人の「ニール」にはチャンスが与えられるべきだと考えた。
加害者が被害者に謝罪する場を設ける修復的司法会議の一環として、私は娘のアンマリーとバーミンガムの保護観察所を訪れ、ケースワーカーを務めるヘインズ巡査に付き添われたニールと対面した。私たちは観察所内の噂の的だったらしい。とても和やかな対面だったからだ。
プログラムをやり通そうとするニールの姿を目にするうちに、私たちの間に友情が育った。ヘインズは最新状況を欠かさず報告してくれ、ニールがどんなことでも努力する気でいると分かった。