習近平はなぜ米主催の気候変動サミットに出席したのか?
韓正と習近平が発した言葉の共通点を列挙すると、以下のようになる。
韓正の発言:https://world.huanqiu.com/article/42kUNMiWEe9
1.アメリカが「パリ協定」に戻ってきたことを歓迎する。アメリカが「パリ協定」を守り、それ相応の責任を果たし、それ相応の貢献をすることを期待している。
2.気候変動問題に対して共同の責任を守らなければならないが、先進国と発展途上国の責任は異なることを認識しなければならない。
3.中国は米中双方が各自の優勢を発揮し、対話を続け、すべての参加国と協力して、「パリ協定」の実施を推進することを望む。
習近平の発言:http://www.xinhuanet.com/politics/leaders/2021-04/22/c_1127363132.htm
【1】中国はアメリカが(一国主義をやめて)多国間と協力する機構問題処理プロセスに再び戻ってきたことを歓迎する。
【2】候変動問題に対して共同の責任を負わなければならないが、先進国と発展途上国の責任が異なるという原則を堅持しなければならない。
【3】我々は国際法を基礎に置き、国連を国際システムの核心とみなして、「国連気候変動機構公約」を遵守し、「パリ協定」の目標と原則を遵守する。
このように韓正に言わせた言葉は、習近平が米主催気候変動サミットでいう言葉と重なっており、特に「1.と【1】」にあるように「中国はアメリカが戻ってきたことを歓迎する」という、「主導権は中国側にある」あるいはせめて「米中は対等な関係にある」というメッセージが基調にある。
「アメリカさんよ、あなたが主催するなんて言ってるけど、本当は資格なんてないんだよ。何と言ってもあなたは出戻りなんだから。こちらが前々からいる主人公だ!」という声が聞こえるようではないか。
プーチンを誘った習近平
「こちらが前々からいる主人公だ」ということを強調するために、同じくバイデン大統領から「どうか参加してくれ」と頼まれていたロシアのプーチン大統領に、習近平が声を掛けたものと推測される足跡がある。
それは4月21日に中国共産党の機関誌「人民日報」の電子版「人民網」が発表したものでhttp://politics.people.com.cn/n1/2021/0421/c1024-32083156.html、20日にオンライン形式で開催された中露執政党対話機構会議に、習近平とプーチンが申し合せたように祝電を送っていることから明らかである。申し合わせをするには一定の期間がかかる。
習近平の方は4月16日に出席を決断しているが、プーチンはアメリカによるウクライナ問題に関する攻撃が激しいために、出席を躊躇していた。どんなにバイデンがプーチンと電話会談したところで、その翌日にはロシアへの金融制裁を発動している。「誰がバイデンなど信じるか、誰が出てやるか」という心理がロシア側にはあっただろうと推測される。それはプーチン側近とも親しい関係にある「モスクワの友人」からの便りからも窺(うかが)うことができる。「モスクワの友人」によれば、中露の親密度はかつてないほど高まっているという。