ミャンマー国軍、市民の遺体引き取りに現金要求か バゴー市、大学生含む多数の犠牲者が放置されたままに
9日、バゴー市内の道路に築かれた市民のバリケードに国軍は重火器で攻撃を仕掛けた。RFA Burmese/YouTube
<ロケット砲や迫撃砲まで使用した国軍による攻撃で市民80人以上が死亡、200人以上が行方不明となったバゴー市。しかし悲劇はさらに続いている──>
国軍による市民への無差別発砲により少なくとも80人が死亡したミャンマーのバゴー市。1都市で1日に発生した犠牲者としては2月1日のクーデター発生以来最多となる惨事から3日経った12日も依然として国軍による厳戒態勢が敷かれている。
そんななか、犠牲になった家族の遺体を引き取って埋葬を希望する市民に対して、国軍が「現金を支払えば(遺体を)返還する」として金銭を要求しているとの情報が現地では流れているという。
大学生を含む非武装無抵抗の市民に対して実弾発砲のほか、腹部を刺された遺体も見つかるなど兵士による残虐な殺害行為が明らかになり、「組織的な虐殺が行われた」として人権団体や国際社会からなどからは国軍への非難が強まっている。
4月9日、中心都市ヤンゴンの北98キロにある観光地として知られている古都バゴー市で、反軍政デモなどの抵抗運動をしていた市民多数に対し、兵士約250人が退路を断つように包囲して、午前4時過ぎから無差別攻撃を始めた。
現地からの映像や動画によると、バゴー市内のポナスやナンタウェイなど4地区の道路に市民が築いた土嚢やバリケードに対して軍はまずロケット砲などを発射してそれを破壊。その後兵士による銃火器での実弾射撃が始まり、その結果多くの犠牲者がでた。
現場で発見回収されたロケット砲の破片とみられる部品もネット上で公開され、重火器による攻撃を裏付けているという。
地元のメディア「イラワディ」は犠牲者の中には地元バゴー大学の19歳の数学科1年生の大学生など3人が含まれ、さらに2人の大学生が現在も行方不明となっているという大学当局の話しを伝えている。
また銃撃による多くの犠牲者のほかに腹部に刺し傷のある遺体もあったことから、拘束後に兵士から暴力を受けた末の死者も含まれていることも明らかになったと「イラワディ」は伝えている。
少なくとも80人以上とみられる犠牲者の遺体の多くは家族が軍のさらなる発砲を恐れているか、あるいは難を逃れて郊外に避難しているため、その多くが現在も放置されたままの状態であるという。