茂木外相は王毅外相に、本当は何と言ったのか?
したがって、茂木外相は、ここに書いてないことで日本の外務省ホームページに書いてあることも言ったのは確かだろうが、重要なのは中国外交部ホームページに書いてあるようなことを、本当は言っているということである。
実は筆者は明後日、ニューヨークのネットTVに生出演して「日本の対中強硬外交の本気度」に関して話さなければならない。
先方は「日中関係はどこまで悪化するのか」と聞いてきたが、「いやいや、悪化など・・・。そもそも日本は習近平を国賓として招くことをコロナを理由に延期はしても、中止するとは言ってないのですから」と、取り敢えず答えたが、ここに書いた一から四までの発言を見ても、どこにも「日中関係の悪化」などは窺(うかが)えない。
しかし日米「2+2」では中国を名指し批判しているので、「日本はどこまで対中強硬策を取れるのか」ということに、ニューヨークでは関心が集まっているらしい。
というのも、菅首相が16日にはバイデン大統領と対面で会談するので、「日本の対中強硬の本気度」を知りたいようだ。
そんな「本気度」など、日本にはまるでないことを知ると、先方はがっかりするだろうが、残念ながら、それが現実なので仕方がない。
菅首相は習近平国家主席に昨年の電話会談で何と言ったのか?
今般の日中外相会談で、王毅外相が茂木外相に「習近平主席が昨年、菅義偉首相と電話会談した際に達成した重要なコンセンサスを貫徹しなければならない」と強調していることが気になる。
菅首相は一体、習近平に何と言ったのか、おさらいしてみよう。
昨年9月25日、菅義偉氏が総理大臣に当選したのに対し、習近平は祝意の意味を込めて菅首相に電話をして会談を行った。
中国の新華社電の報道によれば、その会談で菅首相は概ね以下のように述べている。
●日本は非常に高く中国を重視し、日中関係を最も重要な両国関係の一つだとみなしている。
●日中関係を安定化させることは両国人民の利益に寄与するだけでなく全世界の平和と安定には不可欠のものだ。
●私は習主席との緊密な意思疎通を保ち続け、両国の経済貿易協力を強化することに貢献し、人文交流を深化させ、日中関係を新しい段階に引き上げていくことを推進したいと強く望んでいる。
●日本は中国と密接に意思疎通を行い、年内に区域の全面的な経済パートナーシップに関する締結を行い、日中韓の自由貿易区(FTA)を加速的に推進し、共同で地域の産業サプライチェーンの安定を維持したいと強く望んでいる。
(中国側が発表した菅首相の発言は以上。)