最新記事

中国

茂木外相は王毅外相に、本当は何と言ったのか?

2021年4月6日(火)16時45分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

したがって、茂木外相は、ここに書いてないことで日本の外務省ホームページに書いてあることも言ったのは確かだろうが、重要なのは中国外交部ホームページに書いてあるようなことを、本当は言っているということである。

実は筆者は明後日、ニューヨークのネットTVに生出演して「日本の対中強硬外交の本気度」に関して話さなければならない。

先方は「日中関係はどこまで悪化するのか」と聞いてきたが、「いやいや、悪化など・・・。そもそも日本は習近平を国賓として招くことをコロナを理由に延期はしても、中止するとは言ってないのですから」と、取り敢えず答えたが、ここに書いた一から四までの発言を見ても、どこにも「日中関係の悪化」などは窺(うかが)えない。

しかし日米「2+2」では中国を名指し批判しているので、「日本はどこまで対中強硬策を取れるのか」ということに、ニューヨークでは関心が集まっているらしい。

というのも、菅首相が16日にはバイデン大統領と対面で会談するので、「日本の対中強硬の本気度」を知りたいようだ。

そんな「本気度」など、日本にはまるでないことを知ると、先方はがっかりするだろうが、残念ながら、それが現実なので仕方がない。

菅首相は習近平国家主席に昨年の電話会談で何と言ったのか?

今般の日中外相会談で、王毅外相が茂木外相に「習近平主席が昨年、菅義偉首相と電話会談した際に達成した重要なコンセンサスを貫徹しなければならない」と強調していることが気になる。

菅首相は一体、習近平に何と言ったのか、おさらいしてみよう。

昨年9月25日、菅義偉氏が総理大臣に当選したのに対し、習近平は祝意の意味を込めて菅首相に電話をして会談を行った。

中国の新華社電の報道によれば、その会談で菅首相は概ね以下のように述べている。

●日本は非常に高く中国を重視し、日中関係を最も重要な両国関係の一つだとみなしている。

●日中関係を安定化させることは両国人民の利益に寄与するだけでなく全世界の平和と安定には不可欠のものだ。

●私は習主席との緊密な意思疎通を保ち続け、両国の経済貿易協力を強化することに貢献し、人文交流を深化させ、日中関係を新しい段階に引き上げていくことを推進したいと強く望んでいる。

●日本は中国と密接に意思疎通を行い、年内に区域の全面的な経済パートナーシップに関する締結を行い、日中韓の自由貿易区(FTA)を加速的に推進し、共同で地域の産業サプライチェーンの安定を維持したいと強く望んでいる。

(中国側が発表した菅首相の発言は以上。)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

レバノン南部で医療従事者5人死亡、国連基地への攻撃

ビジネス

物価安定が最重要、必要ならマイナス金利復活も=スイ

ワールド

トランプ氏への量刑言い渡し延期、米NY地裁 不倫口

ワールド

北朝鮮のロシア産石油輸入量、国連の制限を超過 衛星
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでいない」の証言...「不都合な真実」見てしまった軍人の運命
  • 4
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 5
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 6
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 7
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 8
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 9
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 10
    巨大隕石の衝突が「生命を進化」させた? 地球史初期…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 6
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 9
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 10
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中