最新記事

ドイツ

独メルケル、復活祭のロックダウン1日で撤回 信任投票の要求は拒否

2021年3月25日(木)11時52分
ドイツのメルケル首相

ドイツのメルケル首相は24日、新型コロナウイルス対策として導入を決めたイースターの追加的なロックダウン(都市封鎖)措置を撤回すると発表した(2020年 ロイター/Annegret Hilse)

ドイツのメルケル首相は24日、新型コロナウイルス対策として導入を決めたイースター(復活祭)の追加的なロックダウン(都市封鎖)措置を撤回すると発表した。政府が慌ただしく取りまとめた措置に対し、業界団体などから批判の声が上がっていた。

メルケル首相が前日に発表したばかりの措置を撤回したことを受け、野党は内閣の信任投票を求めたが、同首相はこの要求を退けた。

公共放送ARDのインタビューで、野党の全3党が信任投票の実施を求めたことについて問われたメルケル氏は、「実施しない」と答えた。その上で「私の過ちを許してほしいと国民にお願いする。これが正しい措置だったと信じている。連邦政府と議会の全面的な支持も得ている」と述べた。

メルケル首相は23日未明、ロックダウンを4月18日まで延長すると表明。4月1日と3日を「追加的な休暇の日」とし、イースター前後の5日間は自宅にとどまるよう呼び掛けていた。

だがメルケル氏はこの日、記者団に対し、こうした措置を早急に導入するのは現実的ではなかったとし、混乱を引き起こしたことを謝罪。「全ては私自身に責任がある」と述べた。

政府の措置について、業界団体から企業破綻が増えるなどと批判の声が上がっていた。

一方、医療関係者は感染力が強い新型コロナ株の感染拡大を防ぐには十分でないと指摘。メルケル首相もこの日、英国で検出された変異株はドイツ国内でも広がっており、特に子どもや若者に対する危険性が高いと警告。学校対策を強化する必要があるとの考えを示した。

半年後の総選挙を控え、メルケル氏のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と連立相手のドイツ社会民主党(SPD)への支持率は低下しており、両党とも過去最悪の選挙結果が予想されている。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・フィット感で人気の「ウレタンマスク」本当のヤバさ ウイルス専門家の徹底検証で新事実
・新型コロナ感染で「軽症で済む人」「重症化する人」分けるカギは?
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ米政権、国連平和維持活動への資金拠出打ち切

ワールド

米軍、シリア駐留部隊の縮小を計画 半減の可能性=関

ビジネス

米天然ガス生産量と需要、2032年に頭打ちの見通し

ビジネス

今年の北海ブレント価格予想を68.5ドルに下方修正
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気ではない」
  • 2
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ印がある」説が話題...「インディゴチルドレン?」
  • 3
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 4
    NASAが監視する直径150メートル超えの「潜在的に危険…
  • 5
    【クイズ】世界で2番目に「話者の多い言語」は?
  • 6
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 7
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 8
    「世界で最も嫌われている国」ランキングを発表...日…
  • 9
    そんなにむしって大丈夫? 昼寝中の猫から毛を「引…
  • 10
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 1
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 2
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 3
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止するための戦い...膨れ上がった「腐敗」の実態
  • 4
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 5
    「ただ愛する男性と一緒にいたいだけ!」77歳になっ…
  • 6
    投資の神様ウォーレン・バフェットが世界株安に勝っ…
  • 7
    コメ不足なのに「減反」をやめようとしない理由...政治…
  • 8
    まもなく日本を襲う「身寄りのない高齢者」の爆発的…
  • 9
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 10
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中