コロナ「独自路線」のスウェーデン首都、ICU占有率99%
Sweden's Largest City, Has Only Seven ICU Beds Free Amid COVID Surge
感染者増加を受けて1日20~30世帯に新型コロナ検査キットを届けているタクシー運転手 TT News Agency/Jessica Gow via REUTERS
<感染者の急増で、ストックホルムではICUの空きベッドがあと5〜7床しかない>
スウェーデンの首都ストックホルムでは、新型コロナウイルス感染症のための集中治療室(ICU)の占有率が99%に達した。同国のアフトンブラデット紙によれば、12月9日には、ストックホルム地方にある計160のICU病床のうち、空いているのはわずか5~7床になった。
報道によれば、ストックホルムの医療担当責任者を務めるビョルン・エリクソンは9日の記者会見で、状況は「きわめて深刻」だと述べ、ストックホルムはほかの都市圏よりも「かなり大きな」打撃を受けていると説明した。
エリクソンは次のように語った。「我々は全ての人が必要なケアを受けられるように、できる限りのことをしてきた。今後も社会の全ての人が一丸となって最善を尽くし、ウイルスとパンデミックに立ち向かっていく必要がある」
スウェーデンは新型コロナ対策の上で、ロックダウンを行わず自主的なソーシャルディスタンスの確保で集団免疫の獲得を目指す独自路線をとってきた。しかし9月に入ってから感染者が増え始めた。
市民同士の接触が多過ぎる
エリクソンは記者会見で、感染者が急増しているのは、市民同士の接触が多すぎることが原因だと説明した。「これはまさに、我々が恐れていた展開だ。ストックホルム市民が特定の場所に密集したり、外出先で互いに接触しすぎたりした結果だ」と彼は述べ、「医療体制がひっ迫しており、病床に余裕がなくなっている」と警告した。
カロリンスカ大学病院(ストックホルム)のICU担当マネージャーであるビョルン・パーソンは、ダーゲンス・ニュヘテル紙に対して、ICUが満杯になれば、患者に別の受け入れ先を探さなければならなくなると語った。
パーソンはまた、病床の占有率が高まっていることで、通常ならICUで治療を受けられるはずの患者がICUに入れなくなってしまうと語った。スタッフ不足も深刻で、南部ブレーキンゲ県からICUの追加スタッフを派遣してもらった。「できる限りの手は尽くしたが、それでも追加シフトや残業を頼まなければならない状態だ」