「食事は食パンとキムチと水だけ」バイトにもありつけない韓国の若者たち
日本の労働市場は人手不足に悩まされているが、韓国で問題になっているのは若者の高い失業率。特に1997年のアジア通貨危機以降は失業率が上昇基調にあり、2000年からはほぼ最悪に近い状態で停滞しているという。
つまり、そんな状態が20年も続いている韓国は、まさに「大卒貧困者の割合が世界トップレベル」という状況に置かれているわけだ。
文政権の最低賃金引上げでアルバイトの競争が激化した
しかも地方在住の若者の場合は、標準的な就職活動のレールに乗ることすら困難だという。就職できたとしても、キャリアアップは至難の技。ソウルの上位大学出身者が地方の職までを奪ってしまうからである。
さらに2017年の文在寅政権の発足以後は、アルバイトすらも激しい競争に晒されている。その原因として指摘されているのは、最低賃金の上昇だ。
文在寅政権は18年に7530ウォンだった最低賃金を、19年には8350ウォンまで大幅に上げた。その結果、競争が激化してアルバイトにさえありつけない若者が増えたというわけだ。
上記のミン・チュナさんも、単発バイトを知人に紹介してもらっていたものの、19年末からはほとんど収入のない状態が続いているという。
「実家からたまに仕送りをもらっていますが、今月はもう家賃が払えない。花屋さんのバイトに何とか受かりましたが、それも週1日だけ。洋服は組み合わせを変えて着まわし、食事はシリアルとヨーグルトを買って毎日少しずつ食べ、それでしのいでいます」
極貧生活を抜け出すため、今は日本で働くことを希望している。
「10月から日本にワーキングホリデーを使って行く予定ですが、日本のバイトの給料は韓国よりはるかに高いと聞いています。韓国に未練はありません」(32〜33ページより)
内陸にある忠清道からソウルの大学に進学するために上京したという27歳の女性も、大学でTOEIC800点を獲得し、難易度の高いIT系の資格を複数取得したにもかかわらず、就活が円滑に進むことはなかった。
「エントリーシートはもう400枚書きました。それに、たとえば国内業務しかないリフォーム会社でもTOEICの点数が高くないと早い段階で落とされる。ただただ疲弊する毎日です」
就職活動と単発のアルバイトを掛け持ちし、週4回働いて月に80万ウォン。
「食事はもう何か月も、食パンとキムチと水だけ。もしこの先就職できなかったら、と思うとゾッとしますね」と話す。(33ページより)