アフリカで進行する「静かな感染拡大」 深刻な新型コロナのデータ不足
国連機関であるWHOが協力を強制することはできず、慎重な舵取りが欠かせなくなっている。4月末、東アフリカの小国ブルンジにおいてウイルス封じ込めの措置が不十分であることについてWHO当局者が懸念を表明したところ、5月12日、同国におけるWHOのトップ及び3人の専門家が説明なしに国外退去処分となってしまった。
ブルンジは、3月にいち早く国境閉鎖に踏み切ったアフリカ諸国の1つであり、当初はそれがウイルスのまん延を抑えたように思われた。だが、ある医療事業者が匿名を条件に語ったところでは、5月20日の総選挙に向けた準備として集会が重ねられるなかで感染を疑うケースが増加していったという。
ブルンジのピエール・ンクルンジザ大統領は6月上旬に死亡し、新型コロナウイルス感染症の罹患(りかん)がささやかれている。政府の声明によれば、心臓発作が死因であるとされている。ある救急搬送関係者はロイターに対し、5月21日にデニス・ブクミ大統領夫人をケニアに搬送したと話しているが、彼女が新型コロナウイルスの治療を求めたとするケニア側メディアの報道については明言しなかった。大統領一家の広報担当者はコメントを拒んでいる。
エバリステ・ヌダイシミエ新大統領は、ウイルス感染の中心地と疑われる地域で住民に対する一斉検査を行うことも含め、パンデミック(世界的な大流行)への対応策を約束している。
アフリカでWHOとの関係が悪化しているもう1つの国が赤道ギニアだ。5月末、赤道ギニア政府はWHOが感染者数を水増ししていると非難し、WHO代表者を解任するよう要求した。それ以来、同国はWHOに対してデータを提供していない。WHOは「データをめぐる誤解」があったとしているが、データの捏造(ねつぞう)については否定している。
この対立について赤道ギニアのミトハ・オンドオ・アイェカバ保健副大臣に繰り返しコメントを求めたが、回答は得られなかった。中央アフリカに位置する赤道ギニアは、アフリカCDCに対しては定期的に最新情報を提供し続けており、それによれば、感染者数は3071人、死者は51人となっている。