最新記事

医療

賛否両論のオンライン診療 LINEも参入、医療制度持続への突破口にも

2020年6月18日(木)14時00分

「医療の質が落ちる」との懸念も

多くの医師がオンライン診療の導入を躊躇する背景には、診療報酬の問題がある。現在の規制緩和はあくまでコロナ禍での時限的措置で、規制が元に戻れば初診は対面診療が原則となる。再診でのオンライン診療には対面診療とほぼ差がない点数で診療報酬がつくが、事前の3カ月間で毎月対面診療を実施していることが必要だ。

オンライン診療が適している疾病はそれほど多岐にわたるわけではなく、対面診療による触診、診断、検査が必要な病気が多いことももう一つの理由だ。

全国保険医団体連合会理事の山崎利彦医師は「画像や電話では医療の質が落ちる」との判断から、検討していたオンライン診療の導入を見送ったと明らかにした。「やはり触診や目で確認しなければ病状は分からない」と話す。

日本医師会の中川俊男副会長は「オンライン診療・服薬指導はコロナ感染症の局面のもの。平時の対面診療とは比較困難であり、感染収束後に用いることは極めて慎重にすべきだ」と語った。

ブームは終わるか

このままコロナ感染の収束とともにオンライン診療ブームは終わるのだろうか。政府会議に参加する民間識者からは緩和措置の恒久化が提案されており、厚生労働省では規制緩和の終了時期について「コロナ収束時をいつとみるかなど、現在検討中」(医政局)だという。

「九段下駅前ココクリニック」では、6月に入ってからはオンライン診療の件数が減っているという。外出自粛措置の解除とともに下火となりつつあるようだ。

しかし、同クリニックの石井聡院長は、感染症対策にとどまらず、オンライン診療の可能性はより広がりがあると指摘する。

現在、健診で異常が見つかった人のうち、最初から治療を放置したか継続通院しないケースが6―8割に上るといったデータもあるという。石井院長は「継続治療が必要な生活習慣病の場合、オンライン診療を活用してアクセスが良い医療が実現できる。患者は治療を継続しやすくなり、治療成果の改善につながる」と語り、地理的制約から解放されることは患者の利便性の点でも医療成果の観点からもメリットが大きいとの見方を示している。


【関連記事】
・新型コロナ「勝利宣言」のニュージーランドにも新規感染者
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・米6州で新型コロナ新規感染が記録的増加 オレゴンでは教会で集団感染
・街に繰り出したカワウソの受難 高級魚アロワナを食べたら...

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏とマスク氏ら、仏で有罪判決のルペン氏に支

ビジネス

中国が対抗措置、全ての米国製品に34%の追加関税 

ビジネス

アングル:長期金利急低下、米関税でパニック買いも 

ビジネス

アングル:日本株底入れまだ先か、上値抑制の「逆パー
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    5万年以上も前の人類最古の「物語の絵」...何が描かれていた?
  • 2
    「最後の1杯」は何時までならOKか?...コーヒーと睡眠の「正しい関係」【最新研究】
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】日本の輸出品で2番目に多いものは何?
  • 5
    ひとりで海にいた犬...首輪に書かれた「ひと言」に世…
  • 6
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のため…
  • 7
    得意げに発表した相互関税はトランプのオウンゴール…
  • 8
    「ネイティブ並み」は目指す必要なし? グローバル…
  • 9
    テスラが陥った深刻な販売不振...積極プロモも空振り…
  • 10
    アメリカから言論の自由が消える...トランプ「思想狩…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 9
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 8
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中