賛否両論のオンライン診療 LINEも参入、医療制度持続への突破口にも
「医療の質が落ちる」との懸念も
多くの医師がオンライン診療の導入を躊躇する背景には、診療報酬の問題がある。現在の規制緩和はあくまでコロナ禍での時限的措置で、規制が元に戻れば初診は対面診療が原則となる。再診でのオンライン診療には対面診療とほぼ差がない点数で診療報酬がつくが、事前の3カ月間で毎月対面診療を実施していることが必要だ。
オンライン診療が適している疾病はそれほど多岐にわたるわけではなく、対面診療による触診、診断、検査が必要な病気が多いことももう一つの理由だ。
全国保険医団体連合会理事の山崎利彦医師は「画像や電話では医療の質が落ちる」との判断から、検討していたオンライン診療の導入を見送ったと明らかにした。「やはり触診や目で確認しなければ病状は分からない」と話す。
日本医師会の中川俊男副会長は「オンライン診療・服薬指導はコロナ感染症の局面のもの。平時の対面診療とは比較困難であり、感染収束後に用いることは極めて慎重にすべきだ」と語った。
ブームは終わるか
このままコロナ感染の収束とともにオンライン診療ブームは終わるのだろうか。政府会議に参加する民間識者からは緩和措置の恒久化が提案されており、厚生労働省では規制緩和の終了時期について「コロナ収束時をいつとみるかなど、現在検討中」(医政局)だという。
「九段下駅前ココクリニック」では、6月に入ってからはオンライン診療の件数が減っているという。外出自粛措置の解除とともに下火となりつつあるようだ。
しかし、同クリニックの石井聡院長は、感染症対策にとどまらず、オンライン診療の可能性はより広がりがあると指摘する。
現在、健診で異常が見つかった人のうち、最初から治療を放置したか継続通院しないケースが6―8割に上るといったデータもあるという。石井院長は「継続治療が必要な生活習慣病の場合、オンライン診療を活用してアクセスが良い医療が実現できる。患者は治療を継続しやすくなり、治療成果の改善につながる」と語り、地理的制約から解放されることは患者の利便性の点でも医療成果の観点からもメリットが大きいとの見方を示している。
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