動揺する日本の医療現場 新型コロナウイルスと長期戦の備えに不安
防護具の不足
一方、海外各国と同様に、日本でも防護服や医療用品の不足は深刻だ。一部の医師や専門家からは、政府や地方自治体による病院への資金支援や医療関係者への防護器具の提供が十分になされていないとの指摘がある。
厚労省は月1億枚強のサージカルマスクの需要があるとしているが、日本医師会は、月4億─5億枚を使っているとしている。
調達責任者を務める同省医政局経済課の千田崇史さんは、具体的な数字は提供できないとした上で、N95マスクは「サージカルマスクに比べてより足りていないという状況は聞こえてくる。これから政府として調達して配布していく」と話した。
医療用ガウン(防護服)の供給も現場の需要に追いついておらず、「月300万枚くらいは需給ギャップがある。その部分について、マスクと同じように緊急輸入、国内増産、雨ガッパなど代替品の活用でカバーしていく」(千田さん)方針だという。
急増する患者への医療対応が臨界点に達しつつある中、治療の最前線を支えているのは医師や看護師らの強い使命感だ。
聖路加国際病院の坂本さんは、医療現場のスタッフは長期戦に身構えているという。しかし、「病院が医療スタッフの犠牲や善意に依存して生き残ることはできない」と、長期戦への備えに懸念を示した。
Ju-min Park 斎藤真理 山光瑛美
(取材協力:Antoni Slodkowski, Rocky Swift, 宮崎亜巳; 編集:北松克朗)
[東京 ロイター]
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