最新記事

韓国社会

韓国、新型コロナウイルス対策でも役立った個人情報公開 性犯罪者はネットで住所も丸裸

2020年3月23日(月)19時30分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

罰金刑でも10年間掲載

この「アルリムE」とは、政府機関である法務部と女性家族部が共同で2010年より開始したサービスであり、誰でも簡単に性犯罪者を検索できるようになっている。サイト内では「性犯罪者を探す」「地図から探す」「条件から探す」など、まるでネットからレストランを探すように簡単に性犯罪者の個人情報が検索可能だ。

ここで公開されているのは、犯人の犯罪歴のみならず、姓名/年齢/住所及び実際の居住住所/身体的情報(身長体重)/顔写真/性犯罪情報/性犯罪前科一覧などが掲載されている。

さらに、掲載期間も決まっており、宣告刑を基準に10年超過の懲役・禁固刑の犯人は30年間。3年超過10年以下の懲役・禁固刑の犯人は20年間。3年以下の懲役・禁固刑は15年間、罰金刑では10年間記載される。罰金刑だけでも10年間は性犯罪歴を含む個人情報が公開されてしまうことを考えるとかなり厳しい処罰といえる。

子供がいる家庭には郵送される

また、オンラインだけではなく、犯罪者が住んでいる地域の学校や児童がいる世帯に郵便で同様の情報が送られる徹底ぶりだ。これらは韓国の「性暴行犯罪の処罰などに関する特例法」第42〜50条で定められた法律で決められている。

他にも、期間中60日以上国外に旅行する場合は申請しなくてはならず、毎年警察署にて写真の更新も義務付けられている。さらに、「性犯罪就職制限」と称して、犯罪者が再度同じような過ちを犯さないようにと、教育関係をはじめとした職種への就業制限も規定されている。このように韓国では性犯罪者に対し容赦ない姿勢で臨んでいることがうかがえる。

今回、『それが知りたい』を見た視聴者が「アルリムE」で容疑者を検索したことがニュースで報じられた結果、さらに多くの人たちが自分の住んでいる場所や学校の近くなどに性犯罪者がいないか検索したため、番組が放送された今年の1月から「アルリムE」ではアクセス数が急速に伸びているという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国尹大統領に逮捕状発付、現職初 支持者らが裁判所

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 8
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 9
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 10
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中