最新記事

韓国社会

韓国、新型コロナウイルス対策でも役立った個人情報公開 性犯罪者はネットで住所も丸裸

2020年3月23日(月)19時30分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

「猟奇ウサギ殺人事件」を取り上げた韓国の犯罪追跡番組とその後の騒動は、韓国の性犯罪についての厳しい対応を垣間見せた。 그것이 알고싶다 공식계정 / YouTube

<便利であれば個人情報もどんどんオープンにする国は、グルメ情報のように性犯罪者について調べることも可能だ>

今回の新型コロナウイルスのパンデミックでは、韓国の感染拡大とそれに対する素早い対応が日本でも広く報道されているが、特に大邱市の大規模感染が出始めた当初、感染者の足取り公開はまるで追跡調査と思えるほど詳細で、韓国の対策の徹底ぶりにそこまで公にするのかと驚かれた人もいただろう。

しかし、こういった情報の公開というのは韓国では当たり前。感染症対策だけではなく、会社用の名刺に個人用携帯番号を載せていたり、路上駐車した車に携帯番号を書いておき、車の移動をしたい時はその番号に電話を掛けるようにするなど、日本とは個人情報に対する感覚が違っているように感じる。

「新亭洞 2人組 強盗強姦犯」で検索

今年の1月11日、韓国のドキュメンタリー番組『그것이 알고싶다(それが知りたい)』では15年前の未解決事件に追った内容を特集したが、放送終了後、番組内で紹介したあるサイトにアクセスが集中してしまい、サーバー・ダウンしたという。そのサイトが「性犯罪者アルリムE」だ。

この日の放送では、2005年から2006年にかけてソウル市新亭洞で発生した連続殺人事件と誘拐未遂事件が取り上げられた。2015年に一度放送され、今回はその続編にあたる。前回の放送では、誘拐被害者の女性が「犯人の家には"猟奇ウサギマシマロ"(韓国発のウサギのキャラクター)のステッカーが貼られた靴箱があった」と証言したことから、この事件は通称「猟奇ウサギ殺人事件」として知られるようになった。

それから5年が経ち、今回の放送では、犯人を見たという証言者たちの声を集め、モンタージュを作成しテレビで公開。さらに番組後半では、釜山のある警察官が登場し、以前ソウル新亭洞で発生した2人組の強盗強姦犯が猟奇ウサギ殺人事件の犯人と疑わしいとして捜査を進めていく。

放送終了後、この強姦犯が誰なのか気になった視聴者たちは、インターネットの性犯罪者検索サイト「アルリムE」に殺到。アクセスが集中しすぎてサーバーがダウンしてしまったのだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米ギャップ、売上高見通し引き上げ ホリデー商戦好発

ビジネス

気候変動ファンド、1―9月は240億ドルの純流出=

ワールド

トランプ次期米大統領、ウォーシュ氏の財務長官起用を

ワールド

米商務長官指名のラトニック氏、中国との関係がやり玉
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 8
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中