もし開催でも、アメリカは東京五輪をボイコットすべきだ
全てが順調であるかのように関係者が準備を進めたがる理由や事情はいくつもある。日本は五輪開催のために、官民合わせて250億ドル以上をつぎ込んできた。米放送大手NBCは2014年、2032年大会までの6大会分の放映権を約77億ドルで獲得した。ワシントン・ポスト紙によれば、東京大会の広告枠の90%近く、計12.5億ドルを同社は既に販売済みだという。
儲け話はともかく、選手たちが世界有数のスポーツイベントで互いに競い合うチャンスを奪いたいと考えている人間は誰もいない。だが、今回は相手が悪過ぎる。コロナウイルスはインフルエンザよりも致死性が高いという見方もあるし、なかなか感染は収束しそうにない。
USOPCが本当に選手たちのことを考え、国際協力という五輪の理想を尊重するのであれば、この戦いに勝つための最も賢明な方法──つまり、自国に引きこもる戦法を採用すべきだ。
©2020 The Slate Group
<2020年3月31日号掲載>
【参考記事】新世界オリンピックをつくろう
【参考記事】東京オリンピック中止なら、テレビ局やスポンサー企業に打撃
2020年3月31日号(3月24日発売)は「0歳からの教育 みんなで子育て」特集。赤ちゃんの心と体を育てる祖父母の育児参加/日韓中「孫育て」比較/おすすめの絵本とおもちゃ......。「『コロナ経済危機』に備えよ」など新型コロナウイルス関連記事も多数掲載。