最新記事

中国

背後に千億円の対中コロナ支援:中露首脳電話会談

2020年3月23日(月)13時55分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

1949年10月1日に中華人民共和国(現在の中国)が誕生したが、旧ソ連が10月2日に国家として承認すると、10月4日にはブルガリアが同じく中国を国家として承認した。旧ソ連は1991年12月に崩壊しているので、現存の国家として中国を承認した最初の国家はブルガリアということになる。

以来、ブルガリアと中国の関係は緊密で、中国を発展途上国とみなして中国からの投資には「優遇措置」を認めてきた。そのため胡錦涛政権の時代から中国はブルガリアに投資しヨーロッパ市場開拓のための足掛かりとしてきた。

胡錦涛政権に入ってから、欧州市場開発が盛んになってきたが、その拠点となったのがブルガリアである。たとえば2012年2月23日、中国企業の長城汽車(自動車)はブルガリアのロベチに生産工場を設立している

それを一歩進めた具体的な形で2012年4月26日には中国が東欧16カ国をグループとした「16+1」が成立した。主催しているのは胡錦涛政権時代の温家宝国務院総理だ。「16」はソ連崩壊まで共産党圏として存在していた16ヵ国で、「1」は中国のこと。

「一帯一路」は習近平政権の発想だと思っている人が多いかもしれないが、胡錦涛政権時代の2009年に既に「新シルクロード経済ベルト」という概念を提出している。この概念と「16+1」をつなげたのが「一帯一路」の骨組みの一つだ。

今ここで注目したいのは、「ブルガリア」という国で、中国の水面下での働きにより、2009年9月22日にブルガリア人のイリナ・ボコヴァがユネスコの事務局長に選出され、2009年10月に正式に就任。

とてつもなく「えげつないほどに」ボコヴァを利用し始めたのが、習近平とその夫人・彭麗媛である。

女性同士であることなども「誼(よしみ)」として作用していたのだろうか、2014年3月27日、彭麗媛はボコヴァからユネスコから栄誉称号を授与されている。こうして南京事件(中国では「南京大虐殺」)を世界記憶遺産にすることに成功しているのである。

同じブルガリアの女性であるゲオルギエバをIMFの専務理事に就けることに奔走したのは習近平政権だ。

「親中派」を国際組織の長に据える中国の戦略

2019年10月1日にめでたくIMF専務理事に就任したゲオルギエバは、11月22日には習近平にご挨拶すべく、北京の人民大会堂に馳せ参じた

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米シティ、サウジから地域統括拠点設置の認可取得=社

ビジネス

ECB、インフレ目標下振れリスクを注視=仏中銀総裁

ビジネス

VW、コスト削減に人員削減と工場閉鎖は不可避=ブラ

ワールド

パキスタン首都封鎖、カーン元首相の釈放求める抗議デ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではなく「タイミング」である可能性【最新研究】
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 5
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 9
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 10
    「典型的なママ脳だね」 ズボンを穿き忘れたまま外出…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 10
    2人きりの部屋で「あそこに怖い男の子がいる」と訴え…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 6
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 7
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中