背後に千億円の対中コロナ支援:中露首脳電話会談
1949年10月1日に中華人民共和国(現在の中国)が誕生したが、旧ソ連が10月2日に国家として承認すると、10月4日にはブルガリアが同じく中国を国家として承認した。旧ソ連は1991年12月に崩壊しているので、現存の国家として中国を承認した最初の国家はブルガリアということになる。
以来、ブルガリアと中国の関係は緊密で、中国を発展途上国とみなして中国からの投資には「優遇措置」を認めてきた。そのため胡錦涛政権の時代から中国はブルガリアに投資しヨーロッパ市場開拓のための足掛かりとしてきた。
胡錦涛政権に入ってから、欧州市場開発が盛んになってきたが、その拠点となったのがブルガリアである。たとえば2012年2月23日、中国企業の長城汽車(自動車)はブルガリアのロベチに生産工場を設立している。
それを一歩進めた具体的な形で2012年4月26日には中国が東欧16カ国をグループとした「16+1」が成立した。主催しているのは胡錦涛政権時代の温家宝国務院総理だ。「16」はソ連崩壊まで共産党圏として存在していた16ヵ国で、「1」は中国のこと。
「一帯一路」は習近平政権の発想だと思っている人が多いかもしれないが、胡錦涛政権時代の2009年に既に「新シルクロード経済ベルト」という概念を提出している。この概念と「16+1」をつなげたのが「一帯一路」の骨組みの一つだ。
今ここで注目したいのは、「ブルガリア」という国で、中国の水面下での働きにより、2009年9月22日にブルガリア人のイリナ・ボコヴァがユネスコの事務局長に選出され、2009年10月に正式に就任。
とてつもなく「えげつないほどに」ボコヴァを利用し始めたのが、習近平とその夫人・彭麗媛である。
女性同士であることなども「誼(よしみ)」として作用していたのだろうか、2014年3月27日、彭麗媛はボコヴァからユネスコから栄誉称号を授与されている。こうして南京事件(中国では「南京大虐殺」)を世界記憶遺産にすることに成功しているのである。
同じブルガリアの女性であるゲオルギエバをIMFの専務理事に就けることに奔走したのは習近平政権だ。
「親中派」を国際組織の長に据える中国の戦略
2019年10月1日にめでたくIMF専務理事に就任したゲオルギエバは、11月22日には習近平にご挨拶すべく、北京の人民大会堂に馳せ参じた。