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中国

欧州などに医療支援隊を派遣する習近平の狙い:5Gなどとバーター

2020年3月16日(月)13時00分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

新型コロナ患者が減衰に向かい始めると、習近平は盛んに「人類運命共同体」というこれまでのスローガンを駆使して、「中国の防疫方法は世界の模範となっている。中国が世界を救うのだ」という姿勢に立ち、中国に跪く世界の要人から中国礼賛の言葉を引きだしては中央テレビ局CCTVで繰り返し報道している。新型コロナウイルス肺炎パンデミックの真犯人は習近平であるというのに、まるで英雄気取りなのである。

中国の医療支援隊海外派遣を中国では「一省包一市」になぞらえて「一省包一国」という制度に基づき実施しようとしている。これに関して、3月14日には「一省包一国!全球疫情蔓延,中国覇気亮剣:4省専門隊出征4国」(一省包一国!全世界に疾病蔓延、中国覇気に満ちて背を向けず剣を振りかざす:4つの省の専門隊が4つの国に出征する)という見出しの報道までが現れるに至っている。

転んでもタダでは起きない「支援とバーター」

それどころか、「転んでもタダでは起きない」強(したた)かさを見せている。

習近平が武漢入りした前日の3月9日、王毅外相はイギリスのラープ外相と電話会談をした。それによれば、双方は新型コロナ防疫に関して話した後に、次のような会話をしている。

イギリス側は「中国が対英投資を続けることを歓迎し、他国と差別はしない。金融、貿易自由化、投資協定などに関して中国と協力を深めたいと思っている」と述べ、王毅外相は「イギリスが5Gに関して中国と協力的であることを高く評価している。これは中英経済貿易協力に有利である」と述べているのである。

こうして3月10日にイギリス議会は5Gインフラからファーウェイを排除するという議案を廃案にした。

これは即ち、「医療支援と5Gのバーター取引」を意味する。

なんと強かなことか。

イギリスを墜として終わった王毅外相は返す刀で、3月10日、イタリアのディマイオ外相と電話会談をした

このディマイオ外相こそ、「一帯一路」協力を締結へと導いた本人だ。G7先進国の一角を切り崩させたとして、世界をあっと驚かせた人物である。

そのディマイオ外相は以下のように述べた。

――イタリア政府は中国の防疫成功の経験に強い関心を持っており、中国から学びたいと思っている。イタリアはいま医療物資や設備に事欠くという困難に面しており、中国から解決の手助けを得るのは焦眉の急である。イタリアにいる華人華僑たちは防疫面において積極的な役割を果たしており、イタリア側は全力で彼らの健康と安全を守りたいと思っている。

それに対して王毅外相は以下のように答えた。

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