最新記事

オーバーシュート

アメリカ、新型コロナウイルス感染8万2000人で世界最多に 医療物資・病床不足に直面

2020年3月27日(金)12時45分

米国の新型コロナウイルス感染者が3月26日、累計で8万2000人を超え、中国とイタリアを上回って世界最多となった。ニューヨークやニューオーリンズなど感染が深刻な地域は、入院患者の急増や医療物資、病床、スタッフの不足に直面している。米軍の病院船で働く医療スタッフ。提供写真。カリフォルニア州南部沖で24日撮影(2020年 ロイター U.S. Navy/Mass Communication Specialist 2nd Class Ryan M. Breeden/Handout via REUTERS)

米国の新型コロナウイルス感染者が26日、累計で8万2000人を超え、中国とイタリアを上回って世界最多となった。ニューヨークやニューオーリンズなど感染が深刻な地域は、入院患者の急増や医療物資、病床、スタッフの不足に直面している。

全米各州や地方当局の発表に基づくロイターの集計によると、米国の新型ウイルス感染者は累計8万2153人に達した。中国はこれに次ぐ8万1285人、イタリアは3番目に多い8万0539人となっている。

米国内の死者は少なくとも1206人となった。

人工呼吸器・病床の確保が急務

ニューヨーク州のクオモ知事は26日、新型ウイルスの流行に関する現実的な推測に基づくと州の医療体制の能力を超える状態に陥るとし、予想される人工呼吸器の不足は「桁外れ」の大きさだと警告した。

ニューヨーク市では少なくとも1カ所の医療機関で、1台の人工呼吸器を2人の患者で使用する試験を始めた。

クオモ知事はまた、病床数を現在利用可能な5万3000床から14万床に増やすことを目標としており、当局が仮設施設の建設地を探していると述べた。

知事は州内の病床を少なくとも50%増やすよう指示しており、各医療機関は施設内に新たに病室を設置するなど対応に追われている。

ここ1週間はニューヨークが流行の中心地となっているが、次は南部ルイジアナ州で感染が深刻化する兆候が表れている。同州最大の都市ニューオーリンズで2月に開催されたカーニバル「マルディグラ」が感染拡大を加速させたとみられている。

ルイジアナ州のエドワーズ知事は、早急に感染者の増加ペースを遅らせなければ、ニューオーリンズでは4月2日までに人工呼吸器がなくなり、病床は4月7日までに尽きる可能性があると警告した。

ニューヨークやニューオーリンズのほか、ミシガン州デトロイトなどでも感染が急速に拡大しつつある。

米国で最初に新型ウイルスがまん延したワシントン州のインスリー知事は、シアトル地域の感染状況は「非常に小幅な改善」にとどまっているとして、4月6日までの外出制限措置を2週間延長する可能性があると述べた。同州の感染者は26日午後の時点で約3200人、死者は147人となっている。

国立アレルギー・感染症研究所のファウチ所長はラジオ番組で、今後夏に向かって気温が上昇すれば感染拡大が抑えられる可能性があると述べた。ただ、冬場になれば再び広がる恐れがあるとして慎重な見方を示した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・欧州当局「新型コロナウイルス、夏に終息の公算小 高温多湿でも活発」
・新型コロナウイルス感染症で「嗅覚がなくなる」という症例が多数確認される
・新型コロナ、急がれる医薬品開発──抗ウイルス薬やワクチンがなかなかできないのはなぜ?


20200331issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年3月31日号(3月24日発売)は「0歳からの教育 みんなで子育て」特集。赤ちゃんの心と体を育てる祖父母の育児参加/日韓中「孫育て」比較/おすすめの絵本とおもちゃ......。「『コロナ経済危機』に備えよ」など新型コロナウイルス関連記事も多数掲載。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ショルツ独首相、2期目出馬へ ピストリウス国防相が

ワールド

米共和強硬派ゲーツ氏、司法長官の指名辞退 買春疑惑

ビジネス

車載電池のスウェーデン・ノースボルト、米で破産申請

ビジネス

自動車大手、トランプ氏にEV税控除維持と自動運転促
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中