ミャンマー、終わらぬロヒンギャ難民危機 積極支援する中国の野心とは
ラカイン州があるミャンマー西部は、発展が著しいインドと東南アジアの中間に位置する。中国西部の内陸各省からインド洋、ベンガル湾へアクセスする玄関口になりうるという点で、中国にとって戦略的な重要性が高い。
中国の羅照輝・外交副部長は1月上旬、習主席のミャンマー訪問を控えた記者会見のなかで、「我々は(ロヒンギャの)早期帰還に取り組むため、中国、ミャンマー、バングラデシュ3カ国間の外相会合を3回開いた」と語った。
バングラデシュ当局者やヤンゴンに駐在する西側の外交関係者、安全保障問題の専門家によると、中国がもっぱら気にしているのはラカイン州における重要な自国権益を強化することだという。
中国との政府間協議をよく知るバングラデシュ当局者によれば、協議の場で中国側が強調したのは、人権問題の解決よりも、ラカイン州開発の意義だったという。
「中国は(ロヒンギャ)危機の解決を望んでいる」と、別のバングラデシュ当局者は言う。「少なくとも、可能な限り早く帰還を開始したいと考えている。だが、帰還につながる環境作りをミャンマー側に迫るほどの動きはみせていない」
ヤンゴンに駐在する国連職員や外交関係者も、迅速な解決を仲介しようという中国の取組みには、人権への配慮がみられないと指摘する。
「彼らのアプローチはひどく単純だ」と、ヤンゴン駐在の外交官は言う。「我々が耳にするのは、中国がミャンマーとバングラデシュに対し、とにかく帰還を急げとせっついているということ。条件が整っていない段階で、それが何を意味するのか」
ロイターは中国外交部にコメントを求めたが、回答を得られなかった。
ミャンマー社会福祉省のコ・コ・ナイン氏は、ラカイン州の開発について、中国は「継続的に支援してくれる」と語った。「社会の統合よりも開発が遅れていることの方が問題だ」、「ラカイン州では多くの投資が進行しており、道路の状態も良くなっている」。