最新記事

日韓関係

訪韓日本人数が訪日韓国人数を上回った ......その内実は

2020年1月17日(金)16時10分
佐々木和義

韓国LCCは、多くの日本路線を休止した ...... MTN-YouTube

<日韓関係が悪化しているにも関わらず、訪韓日本人がほとんど減っていないことを疑問に感じる韓国人は少なくない。しかし、その内実を見てみると、ここ半年の間にも細かな変化があった ......>

韓国観光公社と日本政府観光局が発表したデータにより、韓国を訪れる日本人が日本を訪れる韓国人を5年ぶりに上回ったことが明らかになった。

韓国で訪日観光がブームとなった2014年7月以降、日本を訪れる韓国人が韓国を訪れる日本人を上回る状況が続いていたが、ボイコットジャパン運動が広がった2019年8月、日本を訪問した韓国人が前年同月を48.0%下回る30万8730人に落ち込んだ。一方、韓国に入国した日本人は前年より4.6%多い32万9652人だった。

9月以降も訪日韓国人は減少を続け、前年比で半分以下になったが、一方、韓国に入国した日本人は10%ほどの減少にとどまった。

日韓関係が悪化しているにも関わらず、訪韓日本人がほとんど減っていないことを疑問に感じる韓国人は少なくない。しかし、その内実を見てみると、ここ半年の間にも細かな変化があった。

2015年には韓国を訪れる日本人は200万人を割り込んだが ......

これまでの経緯を振り返ってみる。2009年に、それまで年200万人台前半で推移してきた訪韓日本人は300万人を超えた。この年に格安航空会社LCCが日本への就航を開始し、また、ウォンが下落して、韓国旅行費が低下したのだ。翌年以降、LCCの路線がさらに増え、韓国を訪問する日本人は2012年に350万人と過去最高を更新する。だが2012年に李明博大統領が竹島に上陸し、13年に発足した朴槿恵政権が告げ口外交を展開したあたりから日本人の減少がはじまった。

同じ2013年には韓国の観光地は多くの中国人で溢れ、ホテル不足が深刻化して宿泊費が高騰したことも、訪韓日本人が減少の一途を辿った理由の一つだろう。

2015年には韓国に入国する日本人は200万人を割り込んだ。関係改善を求める声が高まった同年11月、安倍首相が韓国を訪問、続いて慰安婦問題で合意に達し、訪韓日本人がふたたび増加傾向となる。

一方、日本を訪問する韓国人は増加して、17年には700万人を突破した。中国政府が自国民の韓国旅行を制限したため、航空各社が中国路線に投入していた機材を日本路線に切り替えたことから日本と韓国を結ぶ航空運賃が一気に安くなったのだ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中