最新記事

動物愛護

熱帯魚ベタの「虐待映像」を公開、動物愛護団体がボイコット呼び掛ける

PETA Calls for Betta Fish Boycott After Undercover Video Shows Tropical Fish Kept Inside Small, Dirty Bottles at Breeding Farm

2019年12月10日(火)14時10分
イワン・パーマー

出荷作業の間、水から出されて放置されたベタ PETA ASIA

<餌もないまま小さなビニール袋に入れられて出荷され、美しい尻尾を自分で食べてしまわないよう水に鎮静剤が加えられている疑いも>

国際動物愛護団体「動物の倫理的扱いを求める人々の会(PETA)」は、タイの養殖場「サイアム・トロピカル・フィッシュ」で、観賞魚「ベタ」の「虐待」や「ネグレクト」が行われている実態を映像で公開した。ベタはその美しさから世界中に愛好家がいる人気の熱帯魚。今年、タイの国魚にも指定された。PETAは、その虐待に加担したくなければ、ベタの売買をやめるよう呼びかけている。


問題の映像(下)には、大量のベタが養殖場の床に並んだ汚い小瓶に入れられている様子が映っている。映像に入っている男性の声(従業員と思われる)によればこれは「出荷の準備」で、出荷されたベタは米ペット用品チェーンのペトコで売られることになるという。

養殖場の床にはベタの死骸が放置されて蟻がたかる。出荷準備にあたる作業員は、作業の間ベタを水から出しっぱなしにたり、ほんの少ししか水が入っていないビニール袋に入れたりする。世界各国への輸送には数日かかる場合もあるが、ビニール袋の中に餌はない。ベタが輸送中、美しい尻尾を自分で食べてしまうのを防ぐために、袋の水には鎮静剤が加えられている疑いがあると、PETAは主張する。

また調査を行ったPETAアジア支部の正式な報告書によれば、この養殖場からは毎週およそ10万匹のベタがペトコ向けに出荷されているとみられ、輸送中に全体の1%弱が死亡している疑いがある。

店に着いた時点で病気

「我々はペトコに、即刻ベタの販売停止を求める。ネグレクトや虐待行為をはたらく業者にカネが渡らないようにするためだ」と、PETAのエグゼクティブ・バイスプレジデント、トレイシー・レイマンは言う。「タイ国内で養殖されているベタは、生まれた瞬間から死ぬまでずっと苦しめられている」

PETAは以前、ペトコの各店舗でベタがどのようにして売られているかを示す映像を公開した。映像には、多くのベタが小さな容器に入れられて陳列棚に展示されている様子が映っていた。既に死んでいるものもいれば、少量の、しかも自分の糞だらけの水の中で泳いでいるものもいた。


映像のなかで出荷作業を行っていた複数の作業員は、出荷されるベタの多くが、各店舗に到着した時点で既に病気になっていると認めている。

ある男性作業員は、次のように語った。「金曜日に店に着いた多くの魚が、土日の間に死んでしまう。水槽から出されて、小さな袋に入れられて18時間かけて輸送されてくる間に、ストレスで参ってしまうのだ。これはペットショップが明かさない不愉快な真実のひとつだ」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 8
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中