運行停止した737MAX エチオピア航空遺族には米法律事務所群がる
姉と甥を事故で亡くしたエイモス・ムビチャさんは、GALGを含む10社以上の法律事務所が遺族と接触するのを手伝ったという。だが彼は10月にGALGへの協力をやめた。彼が制止したにもかかわらず、GALGがある犠牲者の親族に接触しようとしたからだ。
ロイターはリベック夫妻とGALGにコメントを求めたが、どちらも回答がなかった。
ロイターが取材した家族の多くは、こうした売り込みを相手にしなかったと言うが、たいていは、自分自身で調べた後に弁護士を雇うことになった。
自身がケニアの弁護士であり、事故で弟のジョージさんを失ったトム・カバウさんは、「すべての弁護士が悪徳というわけではない。もしそうだったら、ボーイングが勝つことになる。我々が必要なのは、正義を実現してくれるような弁護士だ」と話す。
彼の家族は、フセイン・ロー・アンド・アソシエイツ、ウィズナー・ロー・ファームの2社と契約した。
巨額の報酬の可能性も
弁護士が航空機事故の犠牲者を代理し、米国の裁判所で訴訟に勝つ、あるいは和解に達する場合、賠償金に応じて高額の報酬を得られる可能性がある。
事故が航空会社の過失によるものではない場合、会社側が負担する賠償額には上限が設けられる。だが、航空機メーカーに関しては上限がないため、ボーイングに対する訴訟は、弁護士にとって大きな稼ぎになりうる。
この種の事故における原告側弁護士は、通常、着手金を取らない代わりに、和解金や賠償金の少なくとも20%を受け取る。遺族らによれば、エチオピア航空機事故においても、こうした標準的な慣例に沿っているという。
一部法律事務所の積極的なアプローチ以外にも、エチオピア航空機事故においては、ある弁護士が、遺族との接触に対して報酬を提示している。
前出の遺族のイイヘさんによると、、テキサス州のラムジ・ロー・グループの弁護士アダム・ラムジ氏が7月13日、ベイイヘさんに宛てて20分間に6回もメッセージを送り、面会してくれれば現金で謝礼を払うと申し出た。これは同氏のテキストメッセージの記録でも裏付けられた。
「15分お時間を頂ければ100ドル差し上げます」と、ラムジ氏は書いている。
ベイイヘさんはその後、シカゴのクリフォード・ロー・オフィシズを通じて訴訟を起こした。売り込みを掛けてこなかった弁護士を意図的に選んだという。
ラムジ・ロー・グループはシカゴで3件の訴訟を起こしたが、裁判官はそのうち2件を棄却した。遺族が、訴訟の原告とされている遺産「管理人」が見知らぬ人物だと申し出たためである。3件目の訴訟も、犠牲者とされる名前が搭乗記録にないとして棄却された。
この記事を配信した後、ラムジ氏は不適切な行為はなかったと主張するメールを送ってきた(ロイターはラムジ氏の主張を盛り込み記事を再配信した)。同氏は、彼の会社が応対した個人はすべて、先方から接触してきたか、広告に反応したケースだという。
ラムジ氏は「(場合によっては)貧困層のクライアントに交通費を提供する例があった」と述べている。
棄却された訴訟について尋ねたところ、ラムジ氏は「別人が犠牲者遺族を装ったものだ」として、「どのような仕事でも、こうした徒労は普通に見られる」と述べている。