運行停止した737MAX エチオピア航空遺族には米法律事務所群がる
ロイターが37人の犠牲者遺族・代理人に取材したところ、31人が、米国の法律事務所関係者を名乗る人物による不適切なアプローチへの不満や苦情を訴えた。写真は3月14日、アジスアベバ近郊で撮影(2019年 ロイター/Tiksa Negeri)
3月10日にケニア行きのエチオピア航空ボーイング機が墜落し、乗員乗客157人全員が死亡した事故の後、遺族は、米国の法律事務所関係者を名乗る見知らぬ人物からの電話や訪問を受けるようになった。
彼らは呼ばれもしないのに、涙に暮れる親族を訪ねて葬儀場や自宅に現われた。勧誘の電話をかけ、パンフレットを送りつける。
妻を亡くして哀しみに沈む男性に、会ってくれれば謝礼を出すと言ってきた例もあった。また、法律事務所の仕事をしていることは明かさずにカウンセリングを持ちかけてくるケースや、精神的支援のためのグループを創設しようと言ってくるケースもあった。
ロイターが37人の犠牲者遺族・代理人に取材したところ、そのうち31人が、米国の法律事務所関係者を名乗る人物による不適切なアプローチへの不満や苦情を訴えた。
法曹界の倫理規範に詳しい複数の専門家によれば、いくつかの例で見られた振る舞いは、教唆や欺瞞的な行為を禁じる米国の法令のもとで、違法又は非倫理的とされかねないという。
エチオピア航空墜落事故で特に積極的に動いていた法律事務所は、シカゴのリベック・ロー・チャータード、グローバル・エイビエーション・ロー・グループ(GALG)、テキサスのウィザースプーン・ロー・グループとラムジ・ロー・グループ、ミシシッピのウィーラー&フランクス・ロー・ファームPC、イーブス・ロー・ファームだ。
ロイターの問い合わせに対し、ウィザースプーンとウィーラー、イーブス、ラムジは、何も不正はないと回答。リベックとGALGからは回答を得られなかった。
このうちリベックとGALGは合同で、ボーイング相手に訴訟を2件起こし、具体的な請求の額は示さずに「法に基づいて可能なあらゆる損害賠償」を求めている。ラムジが提起した3件の訴訟は棄却された。その他の法律事務所は1件も訴訟を起こしていない。
シカゴ連邦裁判所では12月19日までに、ボーイングを相手取って事故犠牲者112人を原告とする訴訟が114件起きている。原告側主任弁護人のロバート・クリフォード氏が明らかにした。原告側の代理を務める法律事務所は40社近くに及ぶ。公判の日程はまだ設定されていない。
ボーイングはロイターの問い合わせに対し、「捜査当局に全面的に協力している」とコメント。安全は最優先事項だとした。